イギリス EU離脱
【いぎりすいーゆーりだつ】
イギリスでEU(欧州連合)残留か離脱かを問う国民投票が2016年6月23日に行われ、離脱52%、残留48%で、EUからの離脱が決まった。EU加盟国2位の経済大国の離脱で、世界経済への影響が懸念される。
イギリスは1973年、EUの前身であるEEC(欧州経済共同体)に加盟。その後も、EUの共通通貨ユーロを導入せず、ポンドを継続使用。人の往来を自由にできるシェンゲン協定にも加盟しないなど、国家の独自性を維持してきた。しかし、EU全体の政策が国家の政策を上回る状況に反発する声が2010年ごろから噴出。その後、欧州金融危機に端を発した移民の大量流入などが、イギリスの経済、治安、福祉に影響を及ぼすようになった。2013年1月、デーヴィッド・キャメロン首相はEU離脱の賛否を問う国民投票などを掲げたマニフェストを発表した。
EU残留派は、キャメロン首相が党首を務める保守党を筆頭に、労働党、スコットランド民族党、サディック・カーンロンドン市長など。EU圏内の自由貿易を維持したい大企業などのほか、EU加盟後に生まれた若年層も支持していた。また、選挙期間中に殺害されたジョー・コックス下院議員も残留派の一人。EU離脱派は、前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏をはじめ、イギリス独立党のナイジェル・ファラージ党首、キャメロン政権で現職のマイケル・ゴーブ司法大臣などが名を連ねた。
投票の内訳で、離脱にはイングランド、ウエールズ、18~34歳の若者・青年層、労働者階級、低所得者層などの多くが投票。残留にはスコットランド、北アイルランド、55歳以上の中・高齢者層、高学歴者、中・上流階級層などの多くが投票した。
この結果、イギリスは2年程度の手続き期間を経た後に離脱する流れとなる。また、キャメロン首相は、2016年10月までの退陣を表明。市場の反応も敏感で、世界的なポンド安が続いている。在英の日本企業は1000社以上となっており、今後の経済状況によって大きな影響を受ける可能性がある。(Abe,2016/6)
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425646 |