付帯私訴
【ふたい・しそ】
刑事裁判に付帯する民事上の損害賠償請求
刑事事件の裁判と並行して、犯罪行為に関して発生した損害について裁判所で算定すること。日本における現行の制度では認められていない。
現在、窃盗や殺人事件などの裁判では、国を代表する検察官が被告人の有罪を立証する形で審理が進行している。刑法などの法律に基づき有罪判決が出されれば、被告人は犯罪行為について社会に対する責任を負う。犯罪は反社会的行為という思想が反映されている。
一方、被害者の損害は、現行の刑事裁判では補償することができない。すなわち、罰金は国庫に帰属するに過ぎない。そこで、被害者が犯罪行為によって被った損害は、別に加害者を被告とする民事訴訟を提起して、その場で損害額を立証する必要がある。
付帯私訴の制度では、刑事事件の裁判官が有罪の言い渡しと同時に損害賠償命令を出すことができ、被害者の時間的および経済的負担を低減させることが可能となる。
法務省は、被害者救済のため、法制審議会に付帯私訴の創設を諮問する方針だ。2007年の通常国会に付帯私訴制度の導入を盛り込んだ刑事訴訟法改正案を提出したい考え。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425300 |