ボルドーの基礎知識
フランス南西部、三川流域に広がる一大銘醸地。ワインの99%はAOCで、国内AOCワインの約4分の1を占める。品種は赤がカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー主体、白はソーヴィニヨン・ブランやセミヨンなど。基本的にこれらのぶどうをブレンドするのもボルドーの特徴である。ブレンド比率は地域や生産者によって異なり、その比率が味の決め手にもなる。地域的な特徴でいうと、流域を境に左岸(ジロンド川、ガロンヌ川)はカベルネ主体、右岸(ガロンヌ川、ドルドーニュ川)はメルロー主体の傾向が強い。けれど最近は若いうちからおいしく飲めるワインに仕上げるため、全体にメルロー比率が高くなっている傾向がみられる。
おもな産地
幅広い価格帯のワインを産するボルドーだが、まずは上質ワインを産するおもな産地として、次の5つを覚えておきたい。
【メドック】
有名シャトーひしめく高級赤ワインの産地。河口に近いメドックとそれより上流域のオーメドックに分かれ、有名シャトーは後者に集中している。おもにカベルネ主体の長期熟成型のワインを生み出す。
【ソーテルヌ】
世界三大貴腐ワインの産地にあげられる甘口ワインの銘醸地。
【グラーヴ】
赤のほか、高品質な辛口の白ワインを産することでも有名。
【サンテミリオン】
世界遺産にも登録されている美しいワインの里。メルローやカベルネ・フランを主体にした赤ワインが多く生産される。
【ポムロール】
メルロー主体の赤の産地。公式の格付けはないが、名品の数々を産する。トップブランドで有名なペトリュスの本拠地。
ボルドーの格付け
ボルドーには、国内で定めたAOCの格付け以外にメドック、グラーヴ、ソーテルヌ、サンテミリオンの各地区に、独自の格付けがある。この格付けの初めての試みは1855年のパリ万博に際して行われた。ナポレオン3世の命により、当時重要な輸出産品だったボルドーワインの中から優れたシャトーを格付けして展示することになったのだ。格付け作業の結果、選ばれたのは、赤ワインについてはオー ブリオン(グラーヴ地区)の例外を除き、すべてメドック地区のシャトーであった。白ワインについてはソーテルヌ地区の甘口が選ばれることとなった。
■メドック地区の格付け
1855年の格付け制定時に選ばれたシャトーは、5つの等級に分けられた。その格付けは1973年にムートン・ロートシルトが1級に昇格した例外を除き、1世紀半以上経た今も変更されていない。基本的に今も信頼性はあるが、現在の品質が当時の格付けと必ずしも一致しないといわれるシャトーもある。価格も等級順とは限らない。
■グラーヴ地区の格付け
1953年に認定された後、59年に追加、変更された格付け。等級分けは行われず、優良なシャトーのみが選択された。格付け時に白を生産していなかったシャトーは、赤のみに格付けが認められている(例えばオー ブリオン)。
■サンテミリオン地区の格付け
最初の格付けは1958年。10年ごとに格付けが見直されている。第1特別級(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ)と特別級(グラン・クリュ・クラッセ)の2つに等級分けされている。
■ソーテルヌ地区の格付け
最初の格付けは1855年。特別1級と第1級、第2級に分かれる。
■ポムロール地区の格付け
正式な格付けはない。
| 東京書籍 (著:熊野 裕子) 「ワイン手帳」 JLogosID : 8538701 |