幅広国道
【はばひろこくどう】
幅が一〇〇mもある日本一の幅広国道
日本の道路は欧米先進国に比べると狭い。慢性的な渋滞も、車の多さもさることながら、道路幅の狭さ、道路整備の遅れが最大の原因だとは、よく指摘されていることである。道路の総延長一一六・二万kmのうち、自動車交通不能区間が一七・二万km(全体の一四・八%)もある。また、車のすれ違いができないような道路(車道幅三・五m未満)が約四二・七万km、全体の三六・七%を占めているのだ。ましてや中央分離帯の設置された道路は一万四八四三km(九・二%)と、全体の距離からみればないのも等しい状態といえる。車道の幅が一九・五m以上ある道路は、高速道路を含めてもわずか三一五六km(〇・二七%)という希少価値なのである。
一方では、馬鹿に広い道路があることも事実だ。広い道路でよく知られているのは、一章でも触れた名古屋市の一〇〇m道路だろう。市街地の中心部を貫いているのだから、誰もがその広さに驚かされる。札幌市にも一〇〇m幅の大通公園があるし、広島の平和大通も道路幅の広いことで有名だ。しかし、これらの道路はいずれも国道ではない。
では道路幅が一〇〇mもあるような広い国道は一体どこにあるのだろうか。
それは、日本の首都東京にある。千葉市と横須賀市を結ぶ国道三五七号の、品川区八潮と大田区東海の間の湾岸道路が、道路幅一〇〇mの日本一広い国道なのである。三五七号の道路上には首都高速湾岸線が走っているので、広いという実感が湧かないかもしれない。その次に広い国道は、大阪市と亀岡市(京都府)を結ぶ国道四二三号の、大阪市淀川区内にある部分で、道路幅は九五m。三位は和光市(埼玉県)と市川市(千葉県)を結ぶ国道二九八号の、松戸市内を通る区間で、道路幅は七一・五mある。
| 日本実業出版社 (著:浅井 建爾) 「道と路がわかる事典」 JLogosID : 5060026 |