【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 弥生
春霖・菜種梅雨
【しゅんりん・なたねづゆ】

三月下旬から四月にかけてしとしとと降る長雨のことを春霖という。ちょうど菜の花が咲く頃なので菜種梅雨ともいう。
菜の花とはアブラナ(油菜)の花のことで、その種子が菜種である。灯火用のナタネ油を採るために、江戸時代には関西で広く栽培された。「菜の花や月は東に日は西に」という有名な蕪村の句は、一面の菜の花畑に沈む夕日と、東の空にのぼる月を絵画的に詠んだものである。
明治以降は石油が灯火に使われるようになり、アブラナ栽培は激減した。現在、伊豆や房総半島などで栽培されているのは、野菜としての菜の花で、アブラナ科の植物ではあるがナバナと呼ばれる。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040117 |