【暦の雑学事典】5章 季語と年中行事の雑学 > 如月
年内立春
【ねんないりっしゅん】

『古今集』に「年の内に春は来にけり 一年を去年とやいはむ 今年とやいはむ」という在原元方の歌が載っている。旧暦において正月は、二十四節気の雨水(正月中)を含む月とされている。しかし、二十四節気に対して、暦は毎年ずれるために、雨水の前の立春(正月節)が、前年の一二月に含まれることがしばしばあった。これを年内立春という。右の歌は年内立春のとまどいを詠んだものである。
「春や来し年や行きけん小晦日」という芭蕉の句もある。旧暦において月末(みそか)は月が籠もる日なので晦と呼ばれた。年末はとくに大みそか=大晦日といい、その前日を小晦日という。句作した年(寛文二年)は一二月二九日が立春だったのである。
![]() | 日本実業出版社 (著:吉岡 安之) 「暦の雑学事典」 JLogosID : 5040101 |