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暦の雑学事典1章 暦の常識・非常識 >

二十四節気③
【にじゅうしせっき】

年内立春とは何?

◆二十四節気と暦日はなぜずれるのか
 グレゴリオ暦では日付は年初からの通算日でも表わすことができる。たとえば四月一日は、一月一日から数えて九一日目(閏年の場合は九二日目)である。しかし、太陰太陽暦では閏月が途中に挿入されるので、同じ日付でも通算日が異なってくる。たとえば閏八月とあれば、これは八月と九月の間に置かれた閏月を意味する。しかも、閏月の置き方は年によって異なる。なぜ、このような面倒なことが起こるかといえば、二十四節気と暦月との調和を図ろうとしているからだ。
 二十四節気には中気と節気があり、それぞれ交互に置かれる。中気~節気、節気~中気の間隔は約一五・二日、その二倍は三〇・四日で、太陰太陽暦の一か月である二九・五日よりも少し長い。当初、中国では年末に閏月が置かれたが(歳末置閏法)、暦法が整備されはじめた西暦前七世紀頃から、各月に中気が必ず含まれるようにするという原則がつくられた。しかし、この原則を通そうとすると、中気を含まない月が生じるので、その月を閏月とするようになり、一年の途中に閏月が置かれるようになったのである(歳中置閏法)。
 ところが、置閏法をいくら工夫しても、二十四節気と各暦月とを完全に調和させることはできない。そのため、中気はその月の中に含まれても、節気が前月に含まれるようなことが起こる。たとえば、年の変わり目である正月節すなわち立春が前月に繰り込まれると、前年に立春がくることになる。これを年内立春という。
◆時間で等分するか、角度で等分するか
 平均朔望月の長さから単純に朔の日を決めていく暦法を平朔法といい、朔の日が必ず新月の日と一致するようにした暦法を定朔法という(中国では七世紀の戊寅暦から定朔法が導入された)。それと同様に、二十四節気の置き方にも平気(恒気)法と定気(実気)法とがある。節気~中気、中気~節気の期間を一定とするのが平気法で、かたや定気法では太陽が黄径上で一五度移動するのに要する時間ごとに二十四節気が置かれる。
 定気法は太陽の周天軌道を角度において二四等分するので、幾何学的にすっきりし、暦法の進歩のように思える。しかし、地球の公転は楕円軌道なので、季節によって速度の違いがある。つまり、太陽が黄径上で一五度移動するのに要する時間は一定ではなく、このため中気から中気までの間隔は、二九・四四~三一・四六日と幅をもってしまい、ある暦月に中気が二つも入るようなことが起こる。定気法においては、これを防ぐために置閏法がさらに複雑になってしまった
 中国では清の時憲暦(一六四五年)が定気法を採用し、日本では江戸後期の天保暦(一八四四年)が時憲暦をまねて導入した。暦研究家・広瀬秀雄氏(元・東京天文台長)は、「暦法は規則性を尊ぶということを考えるなら、定気の採用は暦法思想の退化を示すもの」と述べている(『日本史小百科暦』)。進化しすぎて絶滅した太古の生物をほうふつとさせる




日本実業出版社 (著:吉岡 安之)
「暦の雑学事典」
JLogosID : 5040014


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:吉岡 安之
価格:1,404
収録数:198
サイズ:18x13x1.8cm(-)
発売日:1999年12月
ISBN:978-4534030214

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