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暦の雑学事典1章 暦の常識・非常識 >

太陰暦と太陽暦
【たいいんれきとたいようれき】

太陰暦+太陽暦=太陰太陽暦ではない

◆調和しない年月日
 新聞の気象情報欄には、月齢(新月をゼロとして起算した日数)とともに、たとえば「九月七日(旧七月二八日)(仏滅)」(一九九九年)というように旧暦の日付が載っている。旧暦(陰暦)は新暦(現行のグレゴリオ暦)に対してつけられた名称である。明治五年まで使われた旧暦(天保暦)もそれ以前の日本の暦もすべて太陰太陽暦だった。
 太陰太陽暦とは太陰暦と太陽暦を単純に合体させたものではない。太陰暦太陽暦、太陰太陽暦の違いをざっと説明すると次のようになる。
太陰暦/陰暦とも呼ばれる。月の満ち欠けの周期(朔望月)を基本単位として一年を組み立てるのが太陰暦である。月齢がカレンダーがわりになるので、太陰暦は最も簡便な暦となる。ただし、一朔望月は約二九・五日なので、一二か月を一年とすると、一年は三五四日にしかならず、毎年、季節と一一日あまりずれていくことになる。月の運行は季節推移と無関係だからだ。
太陽暦/四季の循環と暦の一年を合致させるのが太陽暦である。しかし、日という単位で一年の長さを計測するのは意外とむずかしい。現代人はカレンダーや新聞、テレビなどで一年の経過を知っているにすぎない。
 たとえば、無人島に漂着してそこで長期の生活を送らねばならない事態に陥った場合、現代人はどんな暦をつくりうるかを考えてみよう。季節推移でも一年の経過を知ることはできるが、これはごく大ざっぱなものでしかない(原始的太陽暦)。一年が三六五日と約四分の一日からなるから、日記をつければ一年の経過を知ることができる。しかし、もし三日坊主的に日記をつけ忘れたら日付はだんだんあいまいになる。何日つけ忘れたかが定かでなくなると、もはや正確な日付を知ることはできなくなる。
 地面に棒を立てて、影の長さを計測することで、二至(夏至と冬至)・二分(春分と秋分)という一年の節目を観測できると思うかもしれない。しかし、実際に試してみればわかるが誤差が大きく、一年の起点は大ざっぱにしか定められない。エジプトで太陽暦が成立したのは、ナイル増水の頃、太陽とシリウス(おおいぬ座の一等星)が同時に昇るという偶然のたまものである
・太陰太陽暦グレゴリオ暦が採用されるまで、中国で三〇〇〇年以上、日本で一〇〇〇年以上も使われていたのは太陰太陽暦である。太陰太陽暦は一年の長さはとりあえず不問にふし、太陰暦を季節推移にあわせようとした暦である。太陰季節暦と呼んだほうがわかりやすいかもしれない。太陰太陽暦太陰暦が基本なので、新月の日を一日と決めれば、満月の日は一五日前後と定まる。しかし、季節推移によって繰り返される一年は、朔望月の周期の整数倍となっていないので閏月が挿入される年月日を無理に調和しようとしたため太陰太陽暦の暦法はきわめて複雑となった。




日本実業出版社 (著:吉岡 安之)
「暦の雑学事典」
JLogosID : 5040003


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:吉岡 安之
価格:1,404
収録数:198
サイズ:18x13x1.8cm(-)
発売日:1999年12月
ISBN:978-4534030214

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