【四字熟語】四字熟語 > 政治家好みの大言壮語
四面楚歌
【しめんそか】

周囲、みな敵という状況。周りから非難され、孤立無援のたとえ。ここまではたいていの人が知っている。が、”楚歌”とはなんだとなると、自分の故郷の歌と答えられる人は少ない。楚の覇王項羽は、漢王(高祖)劉邦と一年間にわたって天下の覇を争った。が、次第に劉邦に圧倒され、逃げる途中で韓信の指揮する漢軍の重囲に陥ってしまった。紀元前二〇二年(漢五年)のことだ。垓下のとりでで敵に包囲されたその夜、どこからともなく歌声が起こった。それが四方八方に広がり、楚軍の敗残兵が騒ぎ出した。なんとその歌は祖国楚の歌ではないか。果たして兵士たちは、懐しい故郷の歌声を聞いて、望郷の念たちがたく、戦意を挫かれ脱落していった。「漢は、もうすでにわが楚を占領してしまったのか。周り全部が楚人ではないか」--項羽は”もはやこれまで”と思った。漢軍の謀将張良の計略にかかったのだ。漢軍に降った楚の兵たちが歌わされていたというのが、ことの真相だった。『史記』項羽。
孤軍奮闘。
![]() | 日本実業出版社 (著:真藤 建志郎) 「四字熟語の辞典」 JLogosID : 4373118 |