遠くを見ようとして、頭で考えたりまた、四方八方をきょろきょろ見廻すだけでは何の足しにもならない..
【名言名句】
遠くを見ようとし
て、頭で考えたりまた、四方八方をきょろきょろ見廻すだけでは何の足しにもならない本当に「遠くを見る」ためには肉眼ではとらえられないものをあたかも見るがごとく全身で感じとることである
【解説】
ここでいう「見る」とは、肉眼で目前のものを認識するというだけのことではない。本質をとらえる、あるいは全体を見渡すの意味であって、目前の小事にとらわれているのでは、むしろ何も見ていないことになってしまうというのである。たとえば「あきらめる」という言葉は、「明らむ(明らかに見極める)」が転じて「思い切る」や「断念する」の意味で使われるが、「見る」とはこの「見極める」ことなのである。このように「見る」ためには、多大の集中力を要するだけでなく、その力を養うには常にそのような心構えで物事にあたるほかないと白洲はいっている。
【作者】白洲正子
【生没年】1910~1998
【職業】随筆家
【出典】『舞い終えて』
【参考】白洲正子は、薩摩藩士、政治家の樺山資紀の次女。志賀直哉や柳宗悦に勧められて随筆を書き始めた。古典、仏教、能、骨董など日本伝統文化に造詣が深かった。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450629 |