自然は人の出入りするところを避ける自然がもっとも胸を打つ魅力を繰り広げるところは山の頂や森の奥や
【名言名句】
自然は人の出入り
するところを避ける自然がもっとも胸を打つ魅力を繰り広げるところは山の頂や森の奥や無人島である
【解説】
われわれが通常目にし、愛でているのは、おおむね人の手のはいった自然である。色とりどりの花畑、手入れされた果樹園や山林、堤で守られた川岸…。人間が懸命に手なずけてきた結果、おだやかに人間と共存している自然だ。しかし、こうした姿は自然本来のものではない。「山の頂」のむき出しの岩肌の荒々しさや「森の奥」で植物たちが生存競争で死闘を繰り広げているさま、「無人島」の人を寄せつけない不毛な景色…それらにこそ、自然の本当の姿、本当の魅力があるのだとルソーはいう。
近年では、そのような本来の自然にさえテレビクルーがはいり込んでいる。「胸を打つ魅力」を家にいながら味わえるのはうれしいが、人の出入りを避けられなくなった自然の怒りが怖い。
【作者】ジャン・ジャック・ルソー
【生没年】1712~78
【職業】フランスの思想家
【出典】『新エロイーズ』
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450354 |