ぼくは、人間の完全性を信じないむしろぼくは人間の救い難い醜さ弱さ、狡猾さ、情痴等々を信じる
【名言名句】
ぼくは、人間の完
全性を信じないむしろぼくは人間の救い難い醜さ弱さ、狡猾さ、情痴等々を信じる
【解説】
人間は天使のようにやさしくもなければ、完全無欠な神でもない。そういう人間であればこそ、人間の欠点とされるところに真の人間を見るという。しかしこの言葉に続くものとして、こうした一連の性格、指向をあますところなく露呈することが誠実であり、純情であるといっているのではなく、せめて狡猾でなく、多淫でないことを願って、これらをせめて克服することを装いたいとしている。そこに「ぼくの偽善の信条がある」といっているのだが。
【作者】中野好夫
【生没年】1903~85
【職業】評論家
【出典】『偽善について』
【参考】中野好夫はギボンの『ローマ帝国衰亡史』やスウィフトの『ガリバー旅行記』、シェイクスピアの数々の作品などを翻訳した英米文学翻訳の大家である。『アラビアのロレンス』などすぐれた評伝、評論も残している。娘でエッセイストの中野利子の『父、中野好夫のこと』も日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した好著である。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450231 |