人の希望は初め漠然として大きく後、漸く小さく確実になるならひなり
【名言名句】
人の希望は初め
漠然として大きく後、漸く小さく確実になるならひなり
【解説】
病床に苦しむ子規が、自分の望みがだんだん小さくなるさまを述べたものだが、これは人生や仕事についてもいえることである。
若いうちは漠然とはしているが希望は大きく、夢はふくらんで可能性に満ちている。年をとるにしたがってそれはだんだんささやかなものになるが、そのぶん、実現性が大きくなる。逆にいうと、年をとると確実な夢しかみなくなるものなのかもしれない。
また、仕事の企画も、ブレーンストーミングの段階では遠大で漠然としたイメージを描く。しかし、実現へのプロセスではいろいろな現実的な要請とぶつかって小さくなっていき、しかし確実になっていく。
一つひとつの希望が小さくなってもそれが実現のためなら悪くない。しかし、一方では大きな夢も忘れずにいたい。小さな希望の実現が一歩一歩、それに近づくステップになればすばらしい。
【作者】正岡子規
【生没年】1867~1902
【職業】俳人・歌人
【出典】『墨汁一滴』
【参考】「子規」は血を吐くまで鳴くというホトトギスの異称。喀血した自分自身をたとえたもの。血を吐く病に冒されても短歌や俳句への情熱を失わないという心意気を示す号といえるだろう。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450012 |