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東洋医学のしくみ3章 「証」による診断と治療 >

舌診
【ぜっしん】

舌からわかること

カルテに必ず記載される舌の状態
 東洋医学の「カルテ」には、いろいろな診察の結果に加えて、たとえば以下のような記述が見られます。
・舌=淡白、裂紋あり
・舌苔=白苔
・脈=細、尺が沈
 「尺が沈」とは、薬指で押さえてとる「尺脈」が、強く押さえないと感じられないという意味です。
 この項で取り上げるのは、その前の舌と舌苔の部分。舌そのものの様子と、舌の表面についている舌苔を観察することを「舌診」と呼びます。舌診は、望診の中でもとくに多用されるため、脈診と並んで最重要な診察項目になっています。

◆舌の色・形・表面を診る
 舌診では、主に次の点を診ます。
①舌の色を診る
 健康で気・血・津液すべてバランスよく機能している状態が「淡紅」。上記の「淡白」とは、淡紅よりも赤色が薄かったり白っぽい状態のことで、寒証の兆候です。逆に赤みが濃い場合は「紅」と表し、熱証の兆候などと判断します。
 色はこのほか、血の表れである「暗紫色」などがあります。
②舌の形を診る
「裂紋あり」というのは舌の形を診た結果で、表面に溝状の亀裂ができている状態をいいます。これは血の不足である血虚の兆候とみます。
 裂紋のほかには、分厚く膨らんでいるように見える「胖大」、表面に赤く小さい棘のようなものがたくさん出ている「芒刺」、表面がつるつるして舌苔のない「鏡面舌」などがあります。
③舌苔を診る
 舌苔の色、厚いか薄いか、湿っているか乾いているかなどを診ます。「白苔」というのは寒証や気滞などで見られる症状で、苔が乾いていたら燥熱証、湿っていたら痰湿の兆候などと判断できます。

◆体験の積み重ねによる診断体系
 このように、舌の色、舌の形、舌苔の状態からは、それぞれ違った情報が得られ、これらを組み合わせると舌診だけでもかなりのことがわかるのです。素人でも見分けることは可能ですが、正確に判断するには東洋医学の知識が必要です。
 胃の調子が悪いときに舌が荒れたり、口内炎ができるというように、舌の状態は体内のトラブルを反映するものです。このことは誰でも経験的に知っているでしょうが、東洋医学はそういう体験の積み重ねを体系づけることで、診察技術の一つとして完成させているのです。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030063


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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