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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >

五臓六腑②
【ごぞうろっぷ】

すい臓にあたる臓器が存在しない理由

五臓六腑と奇恒の腑が臓器の全部
 五臓六腑以外に「奇恒の腑」と呼ばれる臓器群があり、「骨・髄・脳・胆・女子胞・脈」などがあります。胆は六腑の一つであると同時に奇恒の腑にも数えられ、女子胞とは狭い意味での子宮、脈は血管と考えていいでしょう
 五臓六腑とこの奇恒の腑が、東洋医学で個別に名称のつく体内の臓器のすべてです。すい臓、食道、十二指腸、卵巣などにあたる名前は、東洋医学には見あたりません。
 目には見えない気や流動性のある血、津液などはともかく、臓器は少なくともはっきりと形のある固体であるはず。にもかかわらず現代医学にあるものが東洋医学にないというのはどういうことなのでしょうか。
 この理由を知るには、現代医学によって解剖学が伝えられる以前から東洋医学は体内臓器の存在を知っていたということを確認しておく必要があります。人間の体内でどういう器官がどのような働きをしているかという概念はすでにあり、後に現代医学の解剖学と突き合わせたときに、似たような働きを持つ臓器の言葉を当てはめたにすぎないのです。
 したがって、胆嚢の働きを持つ臓器を最初から「胆」と呼んでいたとは限らず、たとえば解剖学に胆嚢があったから「胆」でいこうとなったのかもしれません。「胆」の場合はまだ現代医学の胆嚢と機能的に近いのですが、「脾」になると脾臓とは機能に大きな違いがあります。こちらは、たまたま言葉だけそろったという感じでしょうか。
 東洋医学で最初から考えられていた臓器には、あとから現代医学と似たような名称がついたのですが、想定されていない臓器には名前をつける必要がない、それが、すい臓や卵巣など現代医学にあって東洋医学にはない臓器群なのです。

◆個別ではなく機能全体でとらえる
 では東洋医学では、すい臓や卵巣の存在は認められていないのでしょうか。この不思議が、東洋医学を理解するうえでの重要な鍵なのです。
 通常、解剖学での臓器名は一つの内臓を指します。ところが東洋医学ではそうではなく、「消化する」とか「栄養を運ぶ」などといった機能面を重視するのです。ある臓器を特定して、それがどういう機能を果たしているかというふうに考えるのではなく、まず人間が必要とする機能を考えて、それが体内でどういうしくみで成り立っているかというように見ていくのです。つまり、すい臓や卵巣は、一つの独立した臓器として想定されていないだけのことなのです。
 極端にいえば、東洋医学の臓腑の名前は、特定の部位ではなく機能全体を指しているといってもいいのです。たとえば「胃」は単体の胃袋だけをいうのではなくて、食べ物を受け入れて、消化して、下の臓器へ送り出すという「機能」を意味します。
 ですから、消化液を分泌するすい臓が胃の中に含まれていても何の不都合もありません。奇恒の腑の一つ「女子胞」なども同様に、狭い意味では子宮であっても本来は女性の生殖機能全体を指すものなので、卵巣や卵管も含んでいるのです。
 以上のことは肺や肝、腎、膀胱など、現代医学のとらえ方とシンクロしているように思える臓器でも同じです。これを肝を肝臓、腎を腎臓だと思ってしまうと理解できなくなります。
 多くの人は理科や生物で現代医学的な教育を受けているためにどうしてもその個別の働きに引っ張られてしまうのですが、東洋医学ではあくまでも「機能」で考えるのです。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030050


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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