歯石とスケーリング
【しせきとすけーりんぐ】
長期間プラークが歯に付着したままで放置されていると、その中に取り込まれ、唾液成分のカルシウムやリン酸から硬い結晶物が生成されます。これが歯石です。歯石は誰にでも、またどの歯にもつきますが、とくに下顎(かがく)の前歯の裏側と上顎(じょうがく)の奥歯の外側につきます。歯石のところでは細菌が繁殖し、歯肉炎を起こしたり、すでに始まっている歯周病を悪化させます。歯石のつきやすさには個人差が大きく、唾液に含まれるミネラルの量の多少、歯並び、歯磨きの巧拙(こうせつ:上手下手のこと)などによって違ってきます。
歯に付着した歯石を除去することをスケーリングあるいは除石(じょせき)、歯石除去といいます。この処置は、スケーラーと呼ばれる小器具を用いて歯科医師または歯科衛生士が行います。スケーラーは、小さな刃物でできたハンドスケーラーと超音波の衝撃で除去する超音波スケーラーがあります。見えるところについたバター色の歯肉縁上歯石は簡単にとれますが、大切なのは歯肉の下にもぐりこむようについた歯肉縁下歯石を除去することです。この歯石は歯肉から出た血液成分を含むために色も黒っぽい特徴があります。
スケーリングの後で、冷たいものがしみたり、歯ブラシが歯に当たると歯が浮いたような感じがすることがままありますが、数日から数週間で落ち着きます。長びく場合には、知覚過敏の処置をします。 (指宿真澄)
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036629 |