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標準治療(寺下医学事務所)コラム > 産科

妊娠した女性の注意事項
【にんしんしたじょせいのちゅういじこう】

1)全妊娠期間を通じて注意する点

 [1]嗜好品:喫煙、飲酒は妊娠が判明した時点で中止すべきです。とくに、喫煙に関しては本人の健康を害するのみならず、子宮内胎児発育遅延(子宮内の環境が悪いなどの様々な原因の結果として、胎児が十分に大きくなれない)や流早産のリスクが高くなり、生まれてくる赤ちゃんの健康をも害します。受動喫煙も同様のリスクを伴うことから、家族に喫煙者がいる場合は家庭内での分煙をすすめるか、あるいは禁煙を促して受動喫煙が少なくなるよう工夫すると良いでしょう。

 [2]体重増加:妊娠前の体重から妊娠満期までの間、プラス8~プラス10kg程度の体重増加を目標としましょう。体重の増え過ぎには注意が必要です。

 [3]ちょっとした外出の際も、母子手帳を持つほうが良いでしょう。思いもよらず、突然外出先で医療機関を受診する可能性はあります。その際に、母子手帳があると、初めて受診する医療機関でも今までの妊娠経過の情報などがあれば、医療機関側も状況を把握しやすいのでスムーズです。

 [4]妊娠期間中であっても、運転中はシートベルトを正しく着用しましょう。斜めベルトは両乳房の間を通し、腰ベルトは恥骨上に置き、いずれのベルトも子宮を横断しないように装着することで、交通事故時の障害を軽減することができます。日本の法律は妊婦のシートベルトの着用を義務付けていませんが、シートベルトを着用しないで事故に巻き込まれれば、母児ともに危険な状況になる可能性があります。

2)妊娠週数によって注意する点
 妊娠週数は最終月経から数えて、予定日を40週0日としています。妊娠週数によって前期、中期、後期に分けることができます。

 [1]妊娠前期(~16週)の注意事項
 妊娠初期の4週から8週未満が器官形成期といって、人間の中枢神経、心臓や消化器など重要臓器が発生している時期なので、妊娠期間中でもっとも内服薬などに注意が必要な時期です。とはいえ、実際に奇形を起こすと証明されている薬は少なく、よく「妊娠したのに気づかずに、風邪くすりを飲んでしまった」「レントゲンを撮ってしまった」と相談されることがありますが、その程度で問題になることはほとんどないと考えていいでしょう。もともと持病(てんかん糖尿病血栓症があるなど)のある人などは、妊娠する際は事前にかかりつけ医師とよく相談することが必要です。
 また、妊娠初期(妊娠5週~12週ごろ)は個人差はありますが「つわり」が起こります。軽度であれば問題ありませんが、重症になると「重症妊娠悪阻〈おそ〉」と診断され入院したほうがいい場合もあります。具体的には「体重が非妊娠時より5kg以上減った」や「吐いてしまって、水も飲めない」などの時は、医師に相談しましょう。
 妊娠初期の問い合わせで多いのが、「少量の性器出血があるが大丈夫か」というものです。妊娠初期の出血の多くは「切迫流産」といわれるもので、胎児が生存しており正常妊娠への回復が可能なものです。とくに症状がなく順調に経過している人でも、妊娠初期は流産のリスクは比較的高いので、妊娠16週(いわゆる安定期)までは、激しい運動や旅行などは控えたほうがいいでしょう。

 [2]中期(妊娠17週~28週)の注意事項
 妊娠20週ごろになると、「胎動」を感じるようになります。早い人では17週頃から感じる人もいるようです。この時期に、一番注意が必要になるのが、切迫流産、切迫早産という病気です。具体的な症状としては、子宮が収縮して「お腹が張る」と感じたり、安定期に入ったはずなのに薄い出血があったり、また、まったく自覚がないのに子宮の入り口が開いてきたりします(つまり、分娩に近づく状態になります)。万が一、28週までに産まれてしまうと、現在の医療の力をもってしても、かなり赤ちゃんを危険な状態にさらすことになります。まったく自覚症状がなく妊婦検診で発見されることも多い病気ですので、妊婦検診は忘れずに受診しましょう。

 [3]後期(妊娠28週以降)の注意事項
 後期になると、胎児の身体がどんどん大きくなってくるので、お腹もどんどんと出てきます。お腹(子宮)が大きくなることで、下半身の血液が心臓に戻りにくくなるため、足がむくんでくる時期です。これだけでは病気ではありませんが、この血液が血管のなかで固まる(血栓〈けっせん〉といいます)と、下肢静脈血栓症という病気になります。飛行機に長時間のって動かないときなどに発症しやすいので、「エコノミークラス症候群」と呼ばれることがありますが、妊娠中は非妊娠時に比べてこの血栓を作りやすい状態です。ふくらはぎの痛みや、左右の足の太さがちがうなどの症状があれば、医師に相談しましょう。
 最後に、「胎動」の減少などを感じたら早めに医療機関に相談しましょう。胎動が急に弱くなった場合には胎児が弱っているサインのことがあります。 (山田朝子




日本医療企画 (著:寺下 謙三)
「標準治療(寺下医学事務所)」
JLogosID : 5036612

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編集:寺下 謙三
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