妊娠に関連した検査
【にんしんにかんれんしたけんさ】
1)基礎体温
婦人科体温計で毎朝起床時に測定した体温を測定します。通常は低温相(生理から排卵まで)と高温相(排卵から次の生理まで)の2相性のパターンを示します。通常、高温相は2週間前後ですが、これが3週間近く持続する場合には、妊娠を疑います。
基礎体温は、妊娠以外にも排卵の時期や不妊治療の検査などにも非常に有用ですが、妊娠前から事前に自分の基礎体温のパターンを知っておくことが必要であり、生理が来ないからといって測定を始めても初心者にはわかりにくい可能性があります。
2)尿検査
一般に、妊娠反応をみる場合に用いられます。市販の妊娠検査薬でも簡単に測定できる方法で、妊娠によって分泌されるホルモン(hCG:ヒト絨毛性ゴナトトロピン)をみています。
妊娠反応陽性であった場合、正常妊娠である場合と、異常妊娠(流産、子宮外妊娠)である場合があります。また、病気としては非常にまれですが、絨毛(じゅうもう)性疾患(胞状奇胎〈ほうじょうきたい〉、存続絨毛症、絨毛ガンなど)などでも陽性になります。いずれにせよ、妊娠反応陽性であった場合には、産婦人科を受診してください。また、妊娠反応が陰性であったとしても、完全に妊娠が否定できるわけではありません。hCGは妊娠してはじめて分泌されるホルモンです。妊娠検査薬のhCG検出感度は20~100mIU/mLほどですが、妊娠のごく初期には検出感度以下のために妊娠検査薬は陰性となる場合があります。もちろん性交直後に測定しても、陰性となります。
従って、検査薬の使用方法としては、性交あるいは排卵後3週間後、もしくは生理予定日から1週間程度経過してから使用することが勧められています。
3)血液検査
病院で行う検査で、尿検査と同様にhCGを測定します。尿検査は主に陽性か陰性かを見る時に使用されますが、血液検査ではより正確で、尿検査より少ない値でも測定可能です。正常妊娠よりも、異常妊娠(流産、子宮外妊娠)を疑う場合に使用します。
4)経膣超音波
妊娠反応陽性で、産婦人科を受診した場合に必須の検査になります。超音波で子宮、卵巣の状態を観察し、子宮内に胎嚢(たいのう)と呼ばれる胎児の袋の有無を確認します。ここで、胎嚢が確認できれば、ほぼ子宮外妊娠は否定的と考えられます。通常、妊娠5週(生理予定日より1週間後)で胎嚢が確認でき、妊娠6週で胎児の心拍が確認できるようになります。 (山田朝子)
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036611 |