RI検査(アイソトープ検査・核医学検査・シンチグラフィー)
【あーるあいえんさ(あいそとーぷけんさ・かくいがくけんさ・しんちぐ】
放射性同位元素を用いて、臓器の機能や全身の腫瘍(しゅよう)の転移・性状を評価するための検査です。通常、放射性同位元素で標識された薬剤を静脈注射し、直後あるいは一定時間後から撮影を行います。ヨード甲状腺シンチグラフィーのようにヨードカプセルを経口投与する場合や、肺換気シンチグラフィーのように吸入する場合もあります。検査はシンチグラム室、または核医学検査室と呼ばれる放射性同位元素使用を許可された特別な場所(管理区域内)で行われます(イラスト:RI検査施設の標識例〈アイソトープ検査・核医学検査・シンチグラフィー〉)。検査の種類は主なものだけでも10種類以上あり、検査目的に応じて、適切な検査法が選択されます。例えば、ガンの骨転移の有無を調べる場合は「骨シンチグラフィー」、血管が狭くなっていて脳や心筋に血流が十分に行き渡っているかをみる場合は「脳血流シンチグラフィー」「心筋負荷シンチグラフィー」、左右の腎臓の各々の機能をみる場合は「腎臓シンチグラフィー(レノグラム)」などが利用されます。核医学検査では、検査法に応じて、放射性医薬品を前もって準備しておく必要があります。どの薬にも物理的半減期があって、時間とともに減衰していくため、すべて予約検査となります。
とくに最近検査頻度の多い、脳血流シンチグラフィーと心筋負荷シンチグラフィー(SPECT:スペクト)について少し詳しくお話しします。脳血流および心筋負荷検査はいずれもSPECT(シングルフォトンエミッショントモグラフィー、単一光子放出断層撮影法)とも呼ばれています。いずれも血流によって運ばれた放射性医薬品の分布をコンピュータ処理によって輪切りの断層画像として捕らえる検査です。
脳血流検査では、アルツハイマー型痴呆症などの認知症や脳血管障害で広く利用されています。アルツハイマー病の早期診断が可能である点が注目されています。また動脈硬化などで血管が狭くなっている場合は、血管を拡張する薬剤を負荷することもあります。心筋負荷検査では、ペダルをこいだりして運動負荷を与えたり、血管拡張作用のある薬剤を与えて心筋の血流を調べます。狭心症や心筋梗塞の診断に利用されます。核医学検査の特徴として、通常、造影剤やカテーテルなどを用いることはないため、副作用の心配や苦痛なく行えることがあげられますが、負荷のために用いる薬剤や運動、放射性医薬品内に微量のアルコール成分が含まれているもの(副腎皮質シンチグラフィー用アドステロール)では、副作用や検査のリスクもあるため注意が必要となります。 (百瀬敏光、大友邦)
■■検査のコツ■■
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036608 |