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標準治療コラム > 放射線科

PET検査(ペット:ポジトロン放出断層撮影法)
【ぺっとけんさ(ぺっと:ぽじとろんほうしゅつだんそうさつえいほう)】

Positron Emission Tomography

PET検査(ペット:ポジトロン放出断層撮影法)

 PET検査とは、ポジトロン(陽電子)を放出する放射性同位元素を用いて、体内の断層画像を撮影する検査法です。体内に投与されたポジトロン放出核種から発生した陽電子が、近くの陰電子と衝突した際に発生する2本の消滅γ(ガンマ)線を180度の位置に対向して存在する検出器を用いて検出し、コンピュータ処理をして体の輪切りの機能断層画像を作成するものです。1970年代後半に完成した技術で、当初は主に脳機能を研究する目的で利用されていましたが、1990年代後半から全身用PET装置が開発されると、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖類似物質を用いたガンの検査が盛んに行われるようになりました。
 PETではFDGのように糖代謝の増減を調べる検査の他に、血流、酸素代謝、アミノ酸輸送、ドーパミンセロトニンなどの神経伝達機能を評価するための検査もあります。国内では、2002年4月からFDGを用いたPET検査が肺ガン、頭頸部ガン、悪性リンパ腫、転移性肝ガン、大腸ガン、膵ガンなど特定の疾患や病態に対してのみ保険診療として認められました。PET検査は、侵襲なく安全に行える検査で、装置性能の向上により、小さい病変も検出できるようになってきたことから、近年、ガン検診法のひとつとしても注目を集めています。また、正確な位置や形態情報との融合を主目的としたPET-CT装置が開発され、形態情報と機能情報を融合したPET装置が診療の主流となってきています。以下FDG-PET検査の概略をお話しいたします。
 FDGは主にガンの診断に利用されます。全身を一度に撮影できるため、転移の有無の把握にも役立ちます。ガン細胞は一般に正常細胞より糖をより多く取り込み消費する性質があります。FDGはブドウ糖に類似しているため、血液中にあるFDGを糖と誤って認識し、ガン細胞内にたくさん取り込まれることを利用した検査法です。注意事項として、検査6時間前から糖分を控える必要があります。また、前日から激しい運動は避け、できるだけ検査前は安静にする必要があります。
 検査はFDGを静脈注射し、しばらく安静を保ったのち別室で待機し、50分以上経過した時点で検査台に横になっていただき撮影を開始します。撮影時間はおおよそ30分程度です。PET検査全体としてはおおよそ2時間程度を見込んでおけばよいでしょう。静脈注射以外、苦痛なく行える検査です。おおよそ10mm以上の大きさのガンが検出の対象となります。数mm程度の小さいガンやあまり悪性度の高くないガンでは検出が難しいといわれています。また、消化管や脳などもともと正常組織にFDGを取り込む性質がある臓器では検出が難しい場合もあります。
 FDGは投与されたあと、主に腎臓から尿として排泄(はいせつ)されます。また、物理的半減期(放射能が半分になる時間:FDGの場合は約2時間です)によって減衰していきます。検査に伴う放射線被ばくは、自然界で私たちが受ける年間自然被ばくよりやや高いぐらい(通常の胃の透視検査よりやや低い程度)で、問題となる量ではありません。PET-CTとなると、PET単独の場合より被ばく量はやや増加します。FDG-PETはガン以外にもてんかんや虚血性心疾患にも保険適応が認められています。アルツハイマー病などの認知症にも役立つことが知られていますが、日本ではまだ保険が認められていません。 (百瀬敏光大友邦

■■検査のコツ■■




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5036607

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編集:寺下 謙三
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