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標準治療コラム > 放射線科

CT検査(コンピュータによる横断断層撮影法)
【しーてぃーけんさ(こんぴゅーたによるおうだんだんそうさつえいほう】

Computed Tomography

CT検査(コンピュータによる横断断層撮影法)

 CT検査とは、X線とコンピュータを用いて人体の断面像を作成し、その画像を診断するものです。全身のどの部位でも検査が可能です。検査の流れを簡単に説明しますと、検査衣に着替えて装置の専用テーブルに寝ていただきます。そして、CT装置の中をテーブルが移動しながら検査を行います。検査を行う部位によって異なりますが、ほとんどの場合10~20秒の息止めが必要となります。一般的に検査時間は5~10分ほどですが、心臓など特殊な部位では20~30分かかることもあります。
 CT検査には単純CT検査と造影CT検査の2種類があります。造影CT検査は病変の状態、血管の走行などをよく把握するために造影剤を静脈から注射して検査を行います。しかし、ヨードアレルギーのある方、喘息(ぜんそく)の既往歴のある方は造影剤による副作用の発生率が高いので、極力、造影剤の使用を控えています。また腎機能が悪い方は造影剤により腎臓に負担がかかってしまうという理由から造影剤の使用を控えています。検査を行う部位によって異なりますが、造影剤を使用する場合、検査前に食事制限などがあり、注意する必要があります。
 現在、CT装置の主流は1回転あたり1画像を得るシングルスライスCTですが、最近、1回転あたり4~64画像を得るマルチスライスCTの登場により広い範囲を詳しく、かつ、短い時間で検査できるようになりました。これは、X線により体を透過した情報を1つの検出器で受け止めるのに対して、マルチスライスCTでは多数の検出器でより多くの情報を受け止めるからです。現在のコンピュータの進歩により実現しました。例えば胸部においてシングルスライスCTでは約30秒間の息止めをし、10mm厚の画像を撮影しますが、マルチスライスCTでは息止めが約10秒に短縮され、かつ、0.5mm厚の細かい画像を撮影できます。また、約15秒間の息止め1回で全身を検査することも可能になりました。このように、細かく撮影された画像は輪切り断面だけでなく、縦の断面や斜めの断面、立体画像(3D)もより鮮明に撮影できるようになっています。これら装置の普及により、胸部単純X線撮影の他に肺ガン検診でCTを用いている施設も増えています。
 脳出血や心筋梗塞の原因となる脳や心臓の血管を調べるために、カテーテル造影検査を行う場合は入院が必要ですが、CT検査では入院せず外来で脳動脈瘤の有無、心臓の冠状動脈が詰まっていたり、細くなったりしていないかを検査できます。これらが発見された場合は、カテーテルを使用した治療や手術が必要になる場合もあります。最近ではCT検査は検査のみでなくCT透視を利用して肝臓の腫瘍や、脊椎の形成術などの治療に幅広く使われはじめています。 (浅香崇夫、是永建雄

■■検査のコツ■■

イラスト:X線CTスキャン(コンピュータ断層撮影)




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5036606

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