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標準治療(寺下医学事務所)コラム > 消化器

腹腔鏡下手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術〈Lap-C、ラパコレ〉)
【ふくくうきょうかしゅじゅつ(ふくくうきょうかたんのうてきしゅつじ】

腹腔鏡下手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術〈Lap-C、ラパコレ〉)

 ラパコレとはへその辺りから腹腔鏡を入れ、胆嚢をモニター下で見ながら摘出します(Laparoscopic cholecystectomy)。鉗子(はさむもの)やハサミ、クリップなどの操作のために、あと3カ所の小孔が必要となります(図1:ラパコレのトロッカー留置部)。
 それぞれの孔には、カメラや鉗子の出し入れができるようにトロッカーを挿入しています。胆嚢は胆汁を一旦貯めておくだけの場所で、(総)胆管の横に付着していますが、その部分は細く中が螺旋状になっており、胆嚢管といわれています。この部分で切り離します(図2)。
 その前にクリップで胆嚢管を閉じるのが一般的です。したがってこのクリップ(たいてい2個)が残ることになりますが、チタン製のため後でのMRI検査にも大丈夫です。同時に総胆管内に石がないかなどの造影を行います。続いてすぐ横にある胆嚢動脈をやはりクリップ(1、2個)で処理して、胆嚢を肝臓から剥がしていきます。
 すべて剥がし終えたら胆嚢は取られた形になります。取ったあとは出血がないか確認するだけで何も処理をしません。炎症が激しい場合などには摘出部にドレナージチューブを置きます。取った胆嚢は臍部の孔から引き出します。理由は、へその部分が一番柔らかいこと、少し切り足すこともできるからです。摘出後はへその部分だけは筋膜を縫います。他は皮下を十分に縫いますので多くは抜糸の必要がありません。
 まず胆嚢を取る手術の一般的な適応について。大まかにいえば、症状のある胆石症胆嚢ガンあるいはその疑いの2つの場合です。胆石症は成人の約5%にみられるもので、そのほとんどは手術する必要がありません。実際には、[1]痛み(心窩部、右季肋部〈右肋骨の最下部〉、右背部)がある、[2]胆嚢ガンが疑われる(胆嚢ポリープも)、[3]石が充満している、[4]総胆管結石を伴う場合に手術をすすめることになります。
 このうちラパコレでできるものとして、明らかにガンを疑うものは胆嚢だけでなく肝臓や胆管を含めて取るので対象外であり、それ以外のすべてとなります。ただし別の側面として技術的な制約があります。
 まずカメラのモニター下ですので、上腹部に癒着があると胆嚢がみえません。ある程度はそれを剥がせば対処できますが、腸などの癒着が激しい場合には剥離操作そのものがリスクとなるので無理はできません。したがって胃や肝臓の手術を受けている場合はできないことが多くなります。一方、子宮筋腫や帝王切開などの下腹部の手術ではほとんど影響を受けません。
 もう1つは出血のコントロールが難しい場合です。肝硬変や胆嚢炎の急性期は出血しやすい場合があるので、慎重に行う必要があります。とくに急性胆嚢炎は炎症を治めてから手術するか、早くするかは意見が分かれています。ともかく以上の場合でも、いずれもまず腹腔鏡下で行うとして、技術的に困難な場面になった時にその場で開腹に変更するのを躊躇しないことが肝要といわれています。
 一般的にはラパコレの開腹への移行率は2~4%、すなわち達成率は96~98%となります。その前に胆嚢摘出例のうちラパコレを選択する頻度が問題ですが、最近は困難そうな例でも患者さんのQOLを優先して、まずはラパコレ下でやってみるのが一般的な考えになっており、98%程度となっています。
 注意しなければならない合併症としては、胆管や肝臓の胆嚢を剥がした部分から胆汁が漏れることがあります(胆汁瘻)。多くは自然に吸収されますが、チューブを入れて外に出す場合があります。
 胆嚢の炎症が激しい場合や胆嚢管が短い場合、肝臓側で合流する場合などに総胆管を傷つけてしまうことがあります。とくに炎症の激しい場合には、腹腔鏡下に限らずやむをえない状況といえます。頻度は0.6%くらいといわれています。この場合には総胆管を修復しなければならないので開腹に移行します。
 予後としては、通常の回復は、2、3日後には退院できる程度です。術翌日には微熱や臍部や胆摘部の痛みが出ることがありますが、間もなく回復します。5、6日で社会復帰可能です。
 手術直後は全身麻酔の後もあって刺激物や飲酒は避けてもらっていますが、2週以降に何もなければまったく制限は不要です。胆嚢はなくても十分な量の胆汁が分泌されているので、タンパク質、脂肪分の制限も要りません。徐々に慣らして下さい。ちゃんと食べてもらうために手術をしたのですから。 (渡辺五朗

■■検査のコツ■■

イラスト:腹腔鏡




日本医療企画 (著:寺下 謙三)
「標準治療(寺下医学事務所)」
JLogosID : 5036588

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編集:寺下 謙三
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