内視鏡(カメラ/ファイバースコープ)
【ないしきょう(かめら/ふぁいばーすこーぷ)】
・胃内視鏡
先端にCCDレンズのついた細い管(ファイバースコープ)を口から挿入して食道や胃、十二指腸の内部を肉眼的に観察します。必要に応じて組織の一部をとる生検によって病変部の組織を直接顕微鏡で観察することが可能です。食道ガン、胃ガンの確定診断には不可欠です。
レントゲン造影検査よりもより詳細な情報と小さな病変の発見が可能です。さらに、胃の中の出血を止めたり、ポリープを切除するなどの治療を行うこともできます。昔に比べると管もずっと細くなり、喉への局所麻酔および鎮痛剤も用いるので、それほど苦痛ではないという患者さんもいます(麻酔や鎮静剤の作用のため、検査後に車を運転することは危険です)。ポリープ切除などを行わなければ検査自体は10分程度です。最近では、経鼻ファイバーという鼻から入れる細めのカメラも登場しています。
ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)という膵管、胆管というところを造影検査する内視鏡もあります。胆道や膵臓の病気(胆石、ガン、炎症など)が疑われた際に、超音波やCTでは得られない胆管や膵管の細かい変化を観察できます。
また、同時に胆汁や膵液を採取して細胞の検査ができる利点もあります。膵管に直接造影剤を注入するため、膵炎を引き起こすリスクがあり、したがって多くの病院では数日間入院の上、検査を施行し、検査後は膵炎予防のための点滴をすることもあります。そのため、現在ではMRIを用いたMRCP(MR胆管膵管撮影)という非侵襲的な検査にとって代わられつつあります。 (木村裕之)
■■検査のコツ:胃内視鏡■■
イラスト:胃内視鏡
・大腸内視鏡
胃内視鏡と同じくファイバースコープを肛門から挿入して直腸から回盲部(大腸と小腸の境)までの全大腸の内部を肉眼的に観察したり、生検によって病変部の組織を直接顕微鏡で観察することが可能です。大腸粘膜の状態を観察したり、潰瘍(かいよう)やポリープ、憩室(けいしつ)、ガンの有無を診断するのに適しています。またポリープを切除するなどの治療を行うことも可能です。検査は外来で可能ですが、大きなポリープの切除後は1~2日入院観察することもあります。
大腸は長いので胃内視鏡よりも熟練を要し、透視といって内視鏡の位置を確認するためにレントゲンをあてて大腸全体の様子を確認しながら手技を行うことがあります。ごくまれにですが、大腸の壁を傷つけたり、腸に孔(あな)をあけて(穿孔〈せんこう〉)緊急手術となることがあります。検査にかかる時間は30分程度です。 (木村裕之)
■■検査のコツ:大腸内視鏡■■
イラスト:大腸内視鏡
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036586 |