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標準治療病名 > 婦人科

子宮体ガン
【しきゅうたいがん】

Carcinoma Of Uterine Body

子宮体ガン

 子宮体部とは子宮のなかで胎児を育てる袋状になっている部分ですが、子宮体ガンは子宮内膜という子宮の袋の内側を覆っている粘膜にできます。子宮内膜は、受精卵が着床する粘膜、月経で剥がれ落ちてくる粘膜です。子宮体ガンは、より正確にいうと「子宮内膜ガン」ということになります。
 発ガンには女性ホルモン、とくにエストロゲンが関係していると考えられています。エストロゲンには組織を増殖させるはたらきがあります。組織をみずみずしく、活発に保つ作用を治療的に応用したのがアンチエイジングですが、エストロゲンのこのようなはたらきが発ガンに関係していると考えられています。これに対して、プロゲステロンは、組織を成熟に導くはたらきがあり、子宮体ガンを予防すると考えられています。卵巣から分泌される2種類の女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンがはたらいて、子宮内膜は着床、妊娠の準備をします。妊娠が成立しなかった時には、次の妊娠の準備のために、子宮内膜は一旦はがれ落ちてきます。これが月経(生理)です。
 ガンができるかもしれない子宮内膜が、ある程度規則的にはがれ落ちることを繰り返しているうちは、なかなかガンが育っている暇がありません。逆に、内膜がはがれ落ちにくい環境になると、すなわち更年期、閉経となると子宮内膜にガンができやすくなってきます。このようなわけで、子宮体ガンは、年齢的には更年期以降の病気と考えられています。20歳代、30歳代の女性にも子宮体ガンが見つかる場合があります。子宮体ガンの患者さんのうち40歳未満の方は約5%ですが、多くの場合、このような方には排卵障害があります。排卵しにくいということは妊娠しにくいということになりますが、排卵がないとプロゲステロンが分泌されたいため、エストロゲンが一方的にはたらき、子宮体ガンのリスクが増すと考えられています。若い方でも、月経がバラバラな方は子宮体ガンに注意が必要です。
 子宮体ガンの組織にもいくつかのタイプがあります。
 最も頻度の高いのは類内膜型腺ガンで、子宮体ガンの90%を占めます。ガン細胞の顔付きが子宮内膜組織に似ていることから、類内膜型腺ガンと呼ばれます。さらにその悪性度によりグレード(Grade)1~3に分けられます。他に、漿液(しょうえき)性腺ガン、明細胞腺ガン、粘液(ねんえき)性腺ガンなどがあります。漿液性腺ガンは、原発巣が小さいうちから転移を起こしやすい悪性度の高い腫瘍(しゅよう)です。原発巣が小さいからといって、手術のみで治療をおしまいにしてしまった場合、半年以内に腹腔内再発を起こし、急激に腹水が溜まるなどして亡くなります。明細胞腺ガンも悪性度が高いと考えられていますが、原発巣がごく小さい場合に手術以外の治療が必要かどうかはまだよくわかっていません。類内膜型腺ガン、漿液性腺ガン以外のガンについては、さらに研究が必要です。




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5035441

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