丹毒・蜂巣炎・壊死性筋膜炎
【たんどく・ほうそうえん・えしせいきんまくえん】
Erysipelas・Cellulitis・Necrotizing fasciitis
皮膚の細菌感染症の大部分は化膿球菌(ブドウ球菌と連鎖球菌)による感染症であり、それらの細菌によって生じた皮膚感染症を膿皮(のうひ)症と呼びます。膿皮症は毛を包む毛包や汗を分泌する汗腺などの感染症と、これら皮膚に付着している組織(皮膚付属器)とは無関係な感染症に分かれ、皮膚付属器と無関係な膿皮症は、表皮に感染するとびひ(伝染性膿痂疹〈のうかしん〉)と表皮の下の皮膚に感染する膿皮症に分かれています。表皮の下には真皮、さらにその下には皮下脂肪織、その下には筋膜が存在しますが、表皮の下の皮膚感染症は、β-溶血連鎖球菌(溶連菌)が真皮の浅層(せんそう)に感染する丹毒、主として黄色ブドウ球菌が真皮に感染し、真皮深層から皮下組織に及ぶ広範囲の感染症を引き起こす蜂巣炎(蜂窩織炎〈ほうかしきえん〉)、A群溶連菌や混合感染による真皮から皮下脂肪織にかけての感染症で、浅層筋膜を中心として急速に周辺に拡大する壊死(えし)性筋膜炎に分類されています。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035329 |