サルコイドーシス
【さるこいどーしす】
Sarcoidosis
全身の多くの臓器にマクロファージ、T細胞、類上皮細胞などの細胞からなる塊(類上皮細胞肉芽腫〈にくげしゅ〉)ができ、臓器の機能障害が起こる病気です。肉芽腫は、結核などでもみられますが、結核では乾酪壊死(かんらくえし)というチーズに似た壊死部分(細胞の融解したもの)が肉芽腫の中央にみられます。サルコイドーシスの肉芽腫では、乾酪壊死はみられません。主に冒される臓器は、リンパ節、眼、肺、皮膚、心臓、神経です。肺病変(肺サルコイドーシス)が95%以上と最も多く、次いで眼サルコイドーシス(30~40%)、皮膚サルコイドーシス(5~10%)が多く、まれに心サルコイドーシス、神経サルコイドーシスがみられます。原因は不明ですが、何らかの免疫現象がかかわっていると考えられています。
無症状のことが多いので、日本での患者数は不明ですが、新規登録患者数は年間5,000人を超えています。性差はありません。類上皮細胞肉芽腫は自然消失することが多いのですが、消失せずに進展し、線維化病変に進むこともあります。発病率や経過には人種差が大きく、例えば黒人は白人の10倍以上かかりやすいです。また、欧米では呼吸不全が致命的となることが多いですが、日本では呼吸不全は少なく、心病変が致命的となることが多いです。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035257 |