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憲法十七条
【けんぽうじゅうななじょう】

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聖徳太子は、かつて長年にわたって一万円札に肖像画が使われ、さらに日本史の教科書の最初のほうでも偉人として登場するため、誰もが知っている人物である聖徳太子の功績でまず最初に挙げられるのは、六〇四(推古一二)年の「憲法十七条」の制定だろう。これは日本最初の成文法であり、第一条に記された人の和の大切さを説く一節は、日本人の美徳になったとさえいわれた。ところが近年になって、「憲法十七条」が本当に聖徳太子の手によるものかどうかという疑問がいわれるようになった。疑惑のタネとなったのは、十二条の条文のなかに出てくる「国司」「国造」といった言葉である。これらは、六四五(大化元)年の「大化の改新」で律令制度が定められて以降にできた役職の名称であり、聖徳太子の時代には存在しえないものだというのだ。そもそも聖徳太子関する史料というのは、『日本書紀』のなかの推古天皇の時代の記述だけである聖徳太子というのは後世につけられた尊称で、『日本書紀』のなかでは「厩戸皇子」「厩戸豊聡耳皇子」などという名で登場している。そして、そこには、五九三(推古元)年に女帝の即位とともに皇太子となった後、推古天皇にかわって実際に政治を取り仕切るようになり、憲法十七条をつくったという記述がある。さらに十七条の内容も明文化されている。しかし、「国司」「国造」という言葉から生まれた疑惑は、『日本書紀』の聖徳太子関する記述すべてを疑わせることになった。彼が実在したことは確かでも、記述された太子の事績とされるものは、どうも創作らしいというのだ。では誰の創作か。それは日本書紀編纂当時に、自らの権力を正当化したい何者かであっただろうといわれている。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305