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聖徳太子
雑学大全2

旧一万円札でおなじみの聖徳太子の肖像は、『唐本御影(聖徳太子及び二王子像)』という古い肖像画がもとになっている。最近までは教科書にも掲載されていたので、知らない人は少ないだろう。しかしこの肖像画は、『日本書紀』のなかで登場する実在の「厩戸皇子(厩戸豊聡耳皇子などとも)」とは無関係である可能性が高いといわれているようだ。この説が話題になったのは、一九八二(昭和五七)年、当時東京大学史料編纂所長であった今枝愛真氏が、『唐本御影』に描かれた人物が身につけている服や冠は、ずっと後の時代のもので、手に持っている笏しゃくも当時は存在していなかったはずであるという小文を発表したことによる。その後、様々な意見が出され、ニセ者の可能性は高いとされているのだが、本当は誰を描いているのかは、いまだ定かではない。また、もともと「聖徳太子」という名前は、後世につけられた尊称であり、奈良時代の七五一(天平勝宝三)年に成立した『懐風藻』や一三世紀の『聖徳太子伝私記』に登場するため、一般的な呼称の基準として歴史の教科書においては長く使われてきたが、実はその聖徳太子が『日本書紀』に登場する「厩戸皇子」と同一人物かどうかにも疑問を呈する研究者もいる。さらに、その人物が太子(皇太子)どまりであったかどうかを疑問視する説や、単一の皇位継承制がすでにその当時存在していたかどうかは疑わしいという説、本当は聖徳太子などいなかったという説まであり、そのようななかで、確かにあの肖像画が「聖徳太子」だと確定することは難しいだろう。

  

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