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ホタテガイ
雑学大全

お刺身にフライ、バター焼きと、食卓でも親しまれているホタテガイ。アイヌ語でサラカピーというこの貝は、古くから北海道の味覚の一つだった。現在のように広く食べられるようになったのは、昭和四〇年代に養殖技術が飛躍的に進歩してからのことである。
あんなに大きく、不器用そうな二枚貝だが、ホタテガイは、ジェット泳法の持ち主なのだ。
前進するときは、両方の殻を強く開閉しつつ、いっぱいに吸い込んだ水を、前の部分から斜め後方に勢いよく噴出させる。反対に、後退するときは、殻のへりから水を前方に吹きだす。
ホタテガイは、この反動を利用したジェット泳法で、一度に一〜二メートルも素早く移動できる。ほかの貝には、まねのできない方法で、ヒトデやカレイなどの天敵から逃げ、身を守っているのである。
「それは、泳ぎじゃなくてジャンプだよ」、と言う人もいるだろう。
では、こんな言い伝えを紹介しよう。アイヌ民族の伝説によると、奥尻島でホタテが大漁のときは、対岸の寿都で不漁となる。反対に、寿都で大漁のときは、奥尻島で不漁となる。これは、ホタテが平たいほうの殻を、舟の帆のように立てて海上を滑走し、奥尻島と寿都の間を行き来しているからだという。ホタテガイという名は、帆を立てることにちなんでいる。
これは伝説だが、ホタテガイが海を渡っているところを目撃したという記録もある。
北海道の沿岸を航海していた船の船員が、ある夕方、海面に真っ白な帯のようなものが流れているのを発見した。よく見ると、それは殻を開いて、その一方を帆のように立て、風を受けては沖へと進む、ホタテガイの大集団だった。ぎっしりと海に浮かんだ貝と貝がぶつかり合って、音をたてていたという。
こんな不思議な光景を、一度でいいから見てみたいものだ。

  

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