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キノコ
雑学大全

冬は虫で、夏は草になる不思議な生き物として、古来から漢方薬として珍重されてきたのが、「冬虫夏草」である。
虫と植物が一体になったような姿から、古代中国では不老不死の妙薬とされ、また現代でも、強壮剤や健康食品として求める人がいる。だが、冬虫夏草の正体は、虫に寄生して成長したキノコなのである。
本来の冬虫夏草とは、コウモリガの幼虫から生えたキノコのことだが、現在では、虫から生えたキノコすべてを冬虫夏草と呼んでいる。その種類は数多く、現在では日本だけで約二五〇種、世界では約三九〇種が確認されている。
冬虫夏草の菌は、まず、セミ、アリ、カメムシ、クモなど、さまざまな虫の体内に入り込み、養分を吸い取りながら、菌糸を伸ばしつつ成長する。養分を吸い取られた虫は死んでしまう。虫の死体を完全に占領した菌糸は、密に固まって、菌核という硬い組織になる。温度や湿度などの条件がよければ、固まった虫の体を突き破って、菌核からキノコが生えてくる。
キノコといっても、マツタケやシイタケのようなカサはない。種類によって異なるが、冬虫夏草の多くは、先が少しふくらんだ棍棒のような形をして長く伸び上がっており、小さなイボ状の突起で覆われている。角のようなもの、糸のようなものもあり、色は赤や黄色が多い。
やがて、生えてきたキノコが成熟すると、イボ状の突起の先端から胞子が押し出され、また生きた虫を求めて寄生するのである。
日本でよく見られる冬虫夏草は、地中のニイニイゼミのサナギに寄生する「セミタケ」や、ガやチョウのサナギや幼虫に寄生する「サナギタケ」などである。いずれも、バッカクキン科コルジセプス属に分類されるキノコであり、死骸の頭部から棍棒状のキノコが生えている。

  

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