ブレーカー
自宅に設置された分電盤(ぶんでんばん)を見てみよう。その中には、3種のブレーカーが収まっている。かつてはそこには、ヒューズがあった。
近年は、電気の使い過ぎで家が火事になったという話をほとんど聞かない。
また、感電して人が亡くなるという事故もあまりない。
これは日夜、分電盤上で、ブレーカーが電気を〝監視〟してくれているおかげだ。
電気を使い過ぎたり、人が感電したりすると、ブレーカーが落ちてくれる。
しかし、この〝安全の守護神〟のしくみは意外と知られていない。
分電盤には、ブレーカーとして、アンペアブレーカー、安全ブレーカー、漏電(ろうでん)ブレーカーの3種がある。
アンペアブレーカーはサービスブレーカーとも呼ばれ、契約以上の電気が流れると自動的に電気を止める。
安全ブレーカーは配線用遮断器とも呼ばれる。
分電盤から各部屋へ電気を送る屋内配線に取り付けられており、許容電流(普通は20アンペア)を超えると自動的に電気を止める。
ブレーカーのしくみには、熱動式と電磁式の2種の方法がある。
熱動式とは、コタツの温度調整にも使われるバイメタルを利用する。
電流が流れ過ぎると熱を帯び、その熱を検知して電流を切る。
電磁式は電磁石を利用する。
大きな電流が流れると磁力が増し、その力で電流を切る。
漏電ブレーカーは、漏電遮断器とも呼ばれる。
漏電とは、屋内配線や電気器具から電気が漏れることだ。
例えば、配線や電気製品の部品が傷んでいたりして起こる。
漏電ブレーカーはこの漏電を素早く感知し、自動的に電気を遮断する。
漏電ブレーカーは、屋内配線の大元を磁性体のリングにくぐらせた装置である。
漏電がなければ、配線の出入りはトータルで0であり、全体としてリングに電気は流れない。
しかし、漏電が発生すると、行きの電流よりも帰りの電流が少なくなり、トータルとして、リングに電気が流れる。
すると、電磁誘導現象が生まれ、リングに巻いたコイルに電流が流れる。
この電流を増幅して電磁石を作り、その力でスイッチを切るのである。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567140 |