静電気防止グッズ
乾燥した冬、自動車のドアに触れるとピリッと感じることがある。静電気のしわざだ。どの静電気から解放されるグッズがある。
異なる2種のモノが擦(こす)れたり剥(は)がれたりしたとき、静電気は生まれる。
だが、「静」と名付けられていてもバカにはできない。
ドアノブに触れてショックを感じるとき、実は数千ボルトの電圧が生まれている。
小さな雷に襲われているようなものなのだ。
では、静電気と電線に流れている電気は違うのか。
答えはノーだ。
どちらも、同じ電子が演じる現象である。
静電気の「静」とは、電子が「動かない」ことを示しているだけ。
その動かない静電気が大地に一気に移動するとき、我々は「ビリッ」と感じるのだ。
静電気の被害を受けないためには、二つの戦略がある。
一つは静電気を溜めないこと、もう一つはゆっくり流すことである。
静電気をためないようにするグッズとしては、静電気防止スプレーが代表的である。
これは洗剤の素である界面活性剤がおもな成分だ。
吹きかけると、界面活性剤が表面を覆い、湿度を吸収したり保持しやすくしたりする。
その水分から電気が流れるため、静電気がたまらないのである。
柔軟剤(じゅうなんざい)を用いて洗った衣類を着るのも有効だ。
洗濯の仕上げをシットリさせるために、洗濯後の布の表面には界面活性剤の成分が残るようになっている。
これが水分を留め、電気を流しやすくしてくれる。
静電気をゆっくり流すグッズとしては静電気除去キーホルダーが挙げられる。
先端部には導電性のゴムが付けられていて、ほどよい電気抵抗を生むように設計されている。
ドアのノブに触れる前にこの先端部を介(かい)して触ると、体にたまった静電気はゆっくり流れ去り、痛さを感じないことになる。
もっとも、これらに頼らなくても、簡単に静電気の痛さから解放される方法がある。
一つは、ドアを指ではなく手のひら全体で触るようにすること。
もう一つは、ドアを触る前に近くの壁を一度触ることだ。
手のひら全体で触ると静電気が流れる面積が増え、痛さが減少する。
また、壁に触れると電気はゆっくり流れ去ってくれるのだ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567135 |