ロケット
長さ23センチのペンシル・ロケットの発射実験から60年、日本の宇宙技術は格段の進歩を遂とげた。ロケットはもう、我々にとって身近なものなのだ。
この半世紀あまりで、日本の宇宙技術は長足(ちょうそく)の進歩を遂げた。
気象衛星やGPS衛星、そして他国の衛星までも搭載して宇宙に運べるようになった。
では、ロケットはどのようなしくみで飛ぶのか。
これを理解する簡単な方法は、重いボールを持ってキャスター付きの椅子に座り、足を浮かせながらボールを前に投げてみることだ。
反動で、座った人は後ろに動く。
実はこれがロケットの飛ぶしくみなのだ。
学校では作用反作用の法則と教えている。
このしくみを上手に利用した玩具(がんぐ)が、「ペットボトルロケット」である。
圧縮された空気の力で水を勢いよく放出し、その反動で飛ぶ。
これを本物のロケットに当てはめると、ペットボトルロケットの圧縮空気に相当するのが燃料で、噴出する水に相当するものが噴射ガス。
高速に噴射されるガスの反動でロケットは宇宙に向かうのだ。
燃料の燃焼噴射で飛ぶものには、ジェット機がある。
ロケットがジェット機と異なるのは、宇宙空間には酸素がないことだ。
そのため、ロケットの燃料には酸素も積まれ、酸素のない宇宙でも燃料が燃えるようになっている。
ところで、ロケットで打ち上げられた人工衛星はなぜ落ちないのだろうか。
その秘密はスピードにある。
ボールを地球上から水平に投げたとしよう。
左ページ上図①~④のように投げるスピードを上げていくと、落下地点は次し第だいに遠くなり、最後は落ちずに戻ってきてしまう。
この④のスピード(秒速約8キロ。
新幹線の約100倍)を超えると、ボールは地球を回り続けるのだ。
とはいえ、地球を周回する人工衛星はいつしか地球に落下する。
宇宙空間は真空(しんくう)といわれるが、軌道(きどう)上にわずかな空気があるからだ。
その摩擦(まさつ)のためにロケットは減速し、最後は落下する。
ロケットで打ち上げられた衛星の軌道はさまざまである。
例えば、放送衛星は地球の自転と同じスピードで動く静止軌道に乗る。
地球から見ると定位置にあることになり、放送には適した軌道だ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567125 |