電子ペーパー
電子書籍の専用端末の表示部として好評なのが電子ペーパーである。バッテリーの持ちがよく、目が疲れないというスグレモノだ。
近年、電子書籍が出版界をにぎわしている。
書籍の本格的なデジタル化時代の到来である。
グーテンベルクの印刷技術の発明から600年が経過し、本の体裁(ていさい)も大きく変わろうとしている。
電子書籍の表示装置(電子ブックリーダーと呼ばれる)として人気なのが電子ペーパーだ。
液晶と違って自然な明るさで読めるため目に優しく、長時間の読書でも疲れにくい。
また、屋外の明るい場所でも読める。
発光のための電力や、表示を維持するための電力が不要なので電池の持ちがよく、計量・コンパクトにできる(一部の機種では発光装置を付加しているものもある)。
こうした特徴が人気の理由だが、近年はカラー表示も開発され、ますます応用の場を広げようとしている。
電子ペーパーにはさまざまな方式がある。
一番人気はイーインク社が開発した電気泳動方式だ。
異種の電気に帯電した白黒2種の粒子(りゅうし)をマイクロカプセル中に封入し、それら粒子を電気の力で移動させることでモノクロイメージを表示する。
アマゾン、ソニー、楽天などの提供する電子ブックリーダーの表示装置に利用されている。
しかし、電子ペーパーにも強いライバルがいる。
スマートフォンやタブレット端末で利用されている液晶ディスプレイだ。
これらの端末はアプリを入れることで電子ブックリーダーにも変身する。
液晶ディスプレイは電子ペーパーよりも応答性がよく、精細で色も美しい。
ゲームや映画鑑賞もできる汎用端末(はんようたんまつ)としては、液晶ディスプレイのほうが優れているのだ。
さらに、近未来的には有機EL(ゆうきイーエル)と呼ばれるディスプレイもライバルになるはずである。
モノクロの電子ペーパーに外見が似ている製品がある。
磁気ボードと呼ばれるものだ。
文具コーナーではメモ書き用として、玩具(がんぐ)コーナーではお絵かきボードとして売られている。
これは、磁気の力によって、黒い磁性粉を吸い寄せる方法を採用している。
単純な構造で安価だが、解像度が低いためディスプレイとしては利用できない。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567111 |