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コピー機


オフィスの必需品であるコピー機(複写機)。日本を代表するこの製品には、カメラの光学技術が生かされている。

静電気は一般的に嫌われ者だ。

「髪がまとわりつく」「ドアを触るとショックを受ける」など、静電気による悪影響も少なくない。

しかし、静電気がなくてはならないモノもある。

コピー機がその一例だ。

コピー機の心臓部は感光ドラムである。

このドラムの表面は光導電体(こうどうでんたい)に覆われている。

光導電体とは、光が当たると電気を逃がす性質がある物質で、特殊な有機物が利用される。

この有機物は2000年(平成12)にノーベル賞を受賞した白川秀樹(しらかわひでき)博士の功績に負うところが大きい。

ここで、コピーの流れを見てみよう。

最初に、感光ドラムを静電気で帯電しておく(プラスの電気に帯電するモノクロコピー機を考える)。

次に、コピーしたい原稿に光を当て、その反射光を帯電した感光ドラムに当てるのだが、ここで精密な光学技術が使われる。

原稿の白い部分からの反射光は強いため、それを受けたドラムはためていたプラスの電気を逃がす。

反対に、原稿の黒い部分からの反射光は弱いため、それを受けたドラムは電気を保持する。

原稿の白黒模様がそのままドラム上のプラスの静電気模様で再現されるのだ。

次に、マイナスの静電気を帯びた黒粉(トナーと呼ばれる)を感光ドラムに一様(いちよう)に振りかける。

すると、ドラム上のプラスの電気のところに静電気の力で吸い付けられる。

原稿の模様が、今度はドラム上のトナーの模様で再現されることになる。

続いて、ドラムを紙に押しつけ、トナーをそのまま紙に移す。

トナーはおもに顔料とプラスチックの微粒子でできているため、高温にすれば中のプラスチックが融(と)け、紙に焼き付く。

これでコピーの完了である。

カラーコピー機はモノクロコピー機の応用だ。

色を形作るための4色(CMYK、つまりシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)ごとに感光ドラムを用意し、各色にモノクロコピーと同じことを行なう。

感光ドラムがモノクロ用の4倍必要なので高価だが、現在では個人でも購入できる価格になっている。


【執筆・監修】


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」
JLogosID : 8567109

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この辞典について

 中経出版「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」

【著者・監修】 涌井良幸・涌井貞美 [link]
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【最終更新日】

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