イオンドライヤー
高層ビル建設のいちばん高いところで活躍しているタワークレーン。そのクレーンは誰が、どのように持ち上げるのだろう。
ドライヤーをかけ過ぎると、髪が傷むといわれる。
髪に含まれる水分が飛び、乾燥してしまうからだ。
乾燥すると、髪を包むうろこ状のタンパク質キューティクルがめくれ、髪は大きなダメージを受ける。
さらに、その乾燥した髪をブラッシングすると、髪はプラスに帯電してパサついてしまう。
このドライヤーの欠点を解消するのがイオン技術だ。
プラスに帯電した髪にマイナスのイオンを吹きかければ、電気は中和され、髪のパサつきはおさまる。
また、イオン作成技術の向上で、吹きかけるイオンに水分子をまとわせられるようになっている。
その水分子を乾燥した髪に吸着させることで、髪はサラサラ、しっとりと美しく輝く。
このように、イオン技術の進歩は美容器具に大きな影響をおよぼした。
シャープの「プラズマクラスターイオン」、パナソニックの「ナノイー」など、メーカーによってその呼び名は異なるが、しくみは同じ。
従来は消臭・殺菌を目標にしたが、イオンと水との相性を利用して、さまざまなイオン美容器具が開発されている。
例えば、「寝ながらエステ」「ながら保湿」などというコピーで人気を博したイオン加湿器が好例だ。
カサカサと乾燥して電気を帯びやすくなった肌に、先のヘアドライヤーと同じしくみで、水分子をまとったイオンを吸収させる。
しくみが単純で、美容のための入念な作業が不要。
「寝るときに枕元に置くだけ」「机に置くだけ」という美容法なのだ。
この手軽さが多くの利用者の心をつかんだようだ。
エアコンや空気清浄器にも、美容をうたった製品がある。
これも髪を潤すドライヤーのしくみと同じだ。
イオン美容は百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の様相を呈(てい)している。
ところで、ドライヤーのイオン効果について、東京都が物言いを付けた。
「メーカーがいう効果・効能は消費者の一般的な使用方法とは乖離((かいり)した条件でなされている」のだという。
イオン美容の歴史は浅い。
評価が定まるにはもう少し時間を要するのかもしれない。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567101 |