リライトカード
店に行ってポイントをもらうと、また買いに行きたくなるのが人情。では、そのポイントカードの構造としくみを見てみよう。
ドラッグストアなどに買い物に行くと、ポイントをもらえる店が多い。
たまったポイントが目に見えないと集客効果が薄いため、一昔前には紙のカードにスタンプを押してそのポイントが記録された。
ところが近年、リライトカードがよく利用されている。
不思議な色合いの字でポイント情報が記録されたプラスチックカードである。
おかげでレジ係はポイントを押す手間が省(はぶ)ける。
磁気情報も記録されているため、経営者は客層の動向がわかる。
薄いプラスチックカードなので、客にとっては財布が膨(ふく)らまないのでありがたい。
このように、いいことづくめのリライトカードだが、その不思議な色合いの字はどのように書かれるのだろう。
リライトカードには「白濁(はくだく)式」と「ロイコ式」がある。
白濁式はカードの銀色部に熱で白色文字を書き込む方式である。
プラスチック基盤の上に光反射層、印字記録層、保護層が順に積層されている。
印字記録層には有機物(ゆうきぶつ)の微粒子(びりゅうし)が均等に拡散され、低温加熱するとこの粒子が結晶に変質して光を散乱させる。
それが白濁したように見えるのである。
これが印字の秘密だ。
文字を消したいときは高温加熱すればいい。
結晶は元の一様な微粒子に戻る。
このように、白濁式はしくみが単純だが、単色しか出せない。
ロイコ式は表面にロイコ染料(せんりょう)を塗布(とふ)したカードである。
ロイコ染料は高温加熱して急冷すると、顕色剤(けんしょくざい)と結合して発色する。
ところが、低温でゆっくり温めると、顕色剤と分離して色が消える。
こうして、文字を書いたり消したりすることができる。
ロイコ式の場合、印字色は顕色剤を変えることで多様化できる。
そのため、デザイン性に優れているが、白濁式よりも高価だ。
ロイコ染料は、さまざまな場で活躍している。
例えば、買い物のレシートで利用される感熱用紙や、銀行の振り込みに利用されるノーカーボン紙にもこの原理が利用されている。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567018 |