高機能タイヤ
車の本体も進化しているが、同様に進化しているのがタイヤだ。安全、省エネというニーズに向かって改良が重ねられている。
高速走行中のパンクが原因で、痛ましい事故がたびたび発生している。
また、道端(みちばた)でタイヤ交換している際にひかれてしまうという事故もしばしばである。
それを解決するタイヤが1990年代から登場している。
ランフラットタイヤである。
高級スポーツ車に標準搭載されるなど、人気が高い。
ランフラットタイヤは、パンクして空気圧がゼロになっても規定の距離を安全に走行できるタイヤ。
いくつかの方式があるが、現在の主流はブリヂストンの開発したサイド補強型方式である。
補強ゴムによってタイヤサイドの厚みを増すことで、パンクして空気が抜けた状態でも、サイド部分が走行に必要な強度を保持する方法だ。
ところで、廃車時の調査では、スペアタイヤの大半が使われないまま廃棄(はいき)されるという。
膨大な資源の浪費である。
ランフラットタイヤはこの無駄の解決に寄与する「地球にやさしい」タイヤでもある。
また、スペアタイヤのスペースが不要なので、車両デザインの自由度がそのぶん高くなる。
ただし、欠点もある。
タイヤの重量が2割近く増すことだ。
また、構造が複雑なので高価になる。
「地球にやさしい」タイヤはランフラットタイヤだけではない。
例えば、有名なものにエコタイヤが挙げられる。
エコタイヤは走行中の転がりをよくすることで、燃料消費を抑えるタイヤで、低燃費タイヤとも呼ばれる。
転がりやすいということは、道路とのグリップの悪さにつながりそうだ。
しかし、エコタイヤは「転がりやすさ」と「グリップのよさ」という相矛盾する課題を解決しているのである。
タイヤの主成分はゴムだが、そこには炭素とシリカが混ぜられている。
炭素はゴムを固くして転がりをよくするため、シリカは道路とのグリップをよくするためである。
転がりの悪さの大きな原因は、これらの不均質性が摩擦(まさつ)熱を発生させることによる。
そこで、メーカーはそれらを均質に配する技術を開発し、エコタイヤに採用している。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567016 |