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60歳からの人生を愉しむ心理学第2章 「老い」へ向かう軽やかな >

試験も人生も一夜漬けではうまくいかない

仕事人間だった人ほど、定年してから「ひきこもり」になると聞きます。考えてみればそうなるのも想像がつきます。
それまで朝から晩まで仕事が優先、仕事のことばかり考えていた人から仕事をなくしてしまったら、何も残らない。仕事あっての自分だったのですから、「自分崩壊の危機」です。それまでは職場での地位も高く、周囲の人から頭を下げられていたけれど、肩書をなくしてみれば人も寄って来ない。
仕事上のつき合いを「人間関係」と思っていたが、何とはかないものか。そんなものは「関係」でも何でもなかった。仕事があったからこそ一緒に酒を飲んで愚痴を言っていた仲間も、仕事がなくなってみれば、わざわざ会って酒を飲んでも話題がありません。
しかも、熱心に忙しく仕事をしていた人ほど、愉しむ心を失いがちです。効率に毒されて、単なる楽しい時間を「無駄」と感じるようになってしまい、なかなか「楽しい」と思えることを見つけられません。
そうなってからでは遅いのです。学生の頃の勉強も「一夜漬け」では実力がつかなかったのと同じで「一夜漬けの老後」はうまくいきません。
その点、「仕事だけが人生ではない」と早めに気づいた人は、じょじょに頭をシフトし、人生の配分を考えています。仕事10割ではなく、その中に何割か、趣味や家庭や地域活動の幅を広げています。こういう人は、定年になってもひきこもらず、老後へソフトランディングできるでしょう。
数年前から「退職前教育」を実施する企業が増えています。老後の生きがいについて考えたり、趣味や資格を身につけることをすすめたり、料理の研修を行なったり。社会に参加するために何年もかけて学んだように、「老後」という今までと違う「社会」に入っていくにも、何年もかけて学ぶ必要があるようです。
あなたはどんな老後を送りたいでしょうか? 野菜を作りたいなら、家庭菜園のスペースを探し始めましょう。歌いたいなら、近所に合唱団を探し始めてはどうでしょうか。定年に向けての準備は、「老い」への前向きな気持ちも生んでくれます。準備万端、今後が愉しみでしかたないというふうになりたいものです。




渋谷昌三(目白大学教授)
日本実業出版社 (著:渋谷昌三(目白大学教授))
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 8615392


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