【東京五つ星の鰻と天麩羅】天麩羅の名店厳選52軒 > 台東区
まさる
【まさる】

天丼のみで勝負する

アーケード街の新仲見世から北側へ一歩入った路地裏に「天丼のうまい店」と書かれた白い大きな幟がひるがえる。
「最近、なかなかいい材料が入らなくて」と、困惑した表情で話す店主の高崎義統さん。扱う魚介はすべて天然ものゆえに日によって仕入れる量が異なり、早仕舞いする日もしばしば。「せっかく来てくれたお客さんに、いいものを出したいから」と、数種類あった品書きも大入江戸前天丼一本に絞った。
高崎さんは早朝から築地へ出向いて眼鏡にかなったものだけを仕入れ、店に戻れば下ごしらえに余念がない。「手間隙惜しんじゃいけないよ。うちは、いい材料から先に出すから早めに来てよ」。開店前から行列ができるというのもうなずける。
店の創業は昭和22年。当時は食堂だったが、22歳のときから全国各地で和食の修業を積んだ高崎さんが昭和60年に2代目を継ぎ、天ぷら屋になった。屋号の「まさる」は店を始めた母親の名前だ。営業は昼間だけ、酒類は扱っていない。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070780 |