【東京五つ星の鰻と天麩羅】鰻の名店厳選40軒 > 台東区
小柳
【こやなぎ】

気っ風のよさはさすが浅草

浅草公会堂のすぐ南、雷門通りから北に延びる浅草中央通りに面して店がある。白い漆喰壁の木造2階建ての建物は戦後間もなくの建築といい、いかにも浅草らしく、どこか婀娜っぽい風情をまとっている。太い格子の引き戸を開けると、4代目当主の女将・田熊富子さんはじめ店の女性たちが、そろって「いらっしゃいませ!!」と声をかけてくる。この威勢のよさといい古色ある店内の飾らない造りといい、まさに下町。創業は大正14年(1925)だが、戦前、京橋の「小柳」で修業した2代目が暖簾を分けてもらって以来、現在の店名を名乗っている。
戦後からずっとつぎ足してきた、中辛のたれをきかせた鰻重や蒲焼きのほか、柳川や鳥重などサイドメニューも充実している。なかでも女将が「昭和50年から値上げしていません」と胸を張る「きも吸い105円」には、誰もがびっくり。こんな江戸前の心意気が受けて、いつも地元の常連客や浅草観光の人たちで賑わっている人気店だ。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070722 |