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マラソン③
【東京雑学研究会編】

§マラソンランナーは走ることで快感を得ている?

四二・一九五キロを走り続けるマラソン青梅マラソンやホノルルマラソンのように、一般市民が参加できる機会もずいぶん増え、人気上昇中のスポーツである。走り始めはともかく、三五キロを過ぎれば、オリンピックに出るような一流選手ですら、「キツイ」と言う。テレビ画面からは、孤独と苦痛にひたすら耐えるレースの様子が伝わってくる。
ところが、実はマラソンにはストレス発散効果があるそうだ。いわゆる「ランナーズ・ハイ」と呼ばれる現象がそれである。二〇分ほど走った頃から、疲労が消え、集中力が増して、周囲の景色も美しく見えたりするという。
これは「エンドルフィン」の作用である。脳の神経伝達物質の一種でモルヒネに似た作用を持つので、俗に「脳内モルヒネ」とか「脳内快楽物質」とも呼ばれているものである。この物質はモルヒネの数百倍もの効果があり、不安や痛みを和らげ、ストレスの影響も緩和してくれる。
オリンピックのような大会に出場する選手は、走る前から周りの期待というかなり大きなプレッシャーを背負い、当日はまた、その日の気象条件や上り下りなどのコースの特徴からもたらされるストレスにさらされる。さらには、その日の体調やその日のために積み上げてきた調整の良し悪しもストレスになる。加えて、海外の強豪を意識することもあるだろうスタート地点に立ったときの心理状態は、想像にあまりある。それでも自分を見失わず、平常心を保ちながら走り続けることができるのは、「ランナーズ・ハイ」のおかげかもしれない。
ところで、この「ランナーズ・ハイ」は、長距離走者だけが経験するものではないという。断食中の僧侶も似たような状態を経験するそうである。また、パチンコ大当たりをした人にも、エンドルフィンが盛んに分泌することが認められたそうだ
エンドルフィンは、過剰な刺激や苦痛に耐えねばならない人間の自己防衛システムなのだ。




東京書籍 (著:東京雑学研究会)
「雑学大全」
JLogosID : 12670905

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編集:東京雑学研究会
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発売日:2004年8月
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