ベートーヴェン
【東京雑学研究会編】
§ベートーヴェンワインの蔵元は大作曲家の血縁
耳が不自由というハンディを抱えながらも、頭の中に音楽が鳴り響き、晩年には、あの「歓喜の歌」を含む交響曲九番を書き上げたベートーヴェン。その名を冠し、彼の肖像画が描かれたラベルを貼ったワインが、ドイツの小さな村ケーヴェリッヒにある醸造所で造られている。
これは国の誇る作曲家の名前を勝手に使って商売に利用しているわけではなく、実際に彼の末裔ともいえるレグネリ家が経営する醸造所だからできること。ここは、ベートーヴェンの母マリアの生家の子孫がオーナーの蔵元なのである。
マリアの生涯は、蔵元の娘として生まれたとはいえ、けっして恵まれたものではなかった。一七歳で結婚した最初の夫とは死別し、再婚した夫からは暴力で苦しめられ、息子ベートーヴェンのウィーンへの音楽留学出発後二週間で病死している。
彼は、こんな母マリアをこよなく愛していたため、交響曲九番を書くときもその生家で造られたワインを飲みながら作曲していたという。
そして楽聖は歴史上の人物となり、マリアの実家も代替わりしながらも変わらずワインは造り続けられ、今もレグネリ一家の人々とポーランドなどからの季節労働者だけで、ケーヴェリッヒ醸造所でワインが生み出されている。レグネリ家の当主はミスター・ベートーヴェンと呼ばれているのだとか。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670855 |