プラシーボ効果
【東京雑学研究会編】
§薬じゃなくても信じて飲めば病気が治る?
ここに、あまりにも薬に頼りすぎる患者がいたとする。主治医としては、必要のない薬をこれ以上処方したくないと判断した場合、薬でもなんでもない白い粉をその患者に渡すことがある。多くの場合、粉薬の代わりには乳糖やビタミン剤、注射液の代わりには生理食塩水が使われるという。
その結果、患者に何が起こるかというと、みるみる元気になったり、症状が消えてスッキリしたりすることがあるそうだ。それも、患者の約三分の一にこんな効果が出るという。
効くはずのないこのような薬を、効くと信じて患者が服用すると、病気が治ってしまう現象あるいは効果。これを「プラシーボ(プラセボ)現象」とか「プラシーボ効果」という。プラシーボとは、効くはずのない偽薬のことである。
こんな効果が認められる疾患は、単純な風邪ばかりではない。狭心症、癌など、現代の医療でも難しいとされる病気にまで、プラシーボ効果は認められるという。
つよく効果の現れる例としては、精神疾患、リウマチ疾患、各種の痛み、高血圧、消化性疾患がある。また、プラシーボ効果は、人によって、現れ方が異なるそうである。
プラシーボの研究で明らかになったことは、病気を治すのは、薬や治療の医学的、薬学的作用だけではないということである。近代医学でも民間医療でも伝統医療においても、名医と呼ばれる医者は、巧みにプラシーボ効果を利用しているのだ。
ところで、最近、また面白い現象が現れたそうである。通常患者にはプラシーボであることは知らせない。本物と信じて服用してもらうのだ。ところが、「プラシーボ効果があります」と説明されたものを服用した患者で、効果が見られたという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670836 |