ひとり言
【東京雑学研究会編】
§困ったときひとり言を言ってしまう人の心理とは?
「今度の休み、久々に旧友に会おうかな」「いや、衣更えの準備でタンスの整理もしなくちゃならないし」「そうだ、新しい服も必要だから、ショッピングが先かな」
こんなふうに、何かに迷ったり困ったりすると、考えていることをブツブツひとり言として口に出してしまう場合がある。とりわけ探しもののときなど、「あれ? どこにいった?」「こっちかな?」「違うなぁ」などと言いながらアタフタする人が多い。
こうしたひとり言は、思考が幼児レベルへと退行しているときに出るといわれている。幼児が一人で遊んでいるとき、誰かに話しかけたり相談したりするわけでもないのに、ブツブツ自分の考えや行動を口に出しているのと同じだと考えられるからである。
幼児の場合、精神の発達が未熟なため、自分の頭の中で考えている言葉(内語)と、ほかの人に話しかけるための言葉(外語)の区別ができず、すべてを口に出してしまう。成長につれて区別がつくようになり、ひとり言は減っていくのだが、大人になっても、迷ったり困ったりすると、一瞬だが幼児返りしてしまうのだ。
また、探し物が見つからずにイライラしてひとり言を言ったりする場合は、感情の抑制のききにくくなった老人と同じで、一時的な老化現象だという説もある。
さらに、一人暮らしの人が、「寝ようかな」「それとも深夜放送のサッカー中継見るかな」「そうすると、ビール飲みたいな」などとひとり言が出るのは、話し相手のいない孤独感をまぎらすためだが、これにも理由がある。
人間は、何時間も外的刺激がないと幻覚が起きたり、体の機能障害が起きたりするため、ひとり暮らしでも自分でしゃべって自分に刺激を与え、心身を正常に保つための自己防衛本能を働かせているためなのだという。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670800 |