石油②
【東京雑学研究会編】
§石油は植物の死骸だった?
石油の主成分は炭素原子(C)と水素原子(H)が結びついた炭化水素という化合物だ。炭化水素にはメタンのように炭素原子一個に水素原子四個という単純なものから、炭素原子を数十個含む複雑な構造のものまである。
石油の主成分である炭化水素ができたのは、太古の生物の死骸がもととなったとする有機成因説と、地下で生物とは無関係に起きた化学反応によったとする無機成因説の二つがある。
ただ、石油の成分中に植物の葉緑素からできたと推定される化合物が発見されていることから、現在は生物の死骸によってできたとする有機成因説が有力だ。
有機成因説によると、何万年も前、陸地の多くが海底だった頃、海中の植物、動物、プランクトンなどが死んでその死骸が海の底に沈み、上に岩石や砂や微粒子などが積み重なり、圧力と化学反応によって石油ができたとされている。
動植物の有機物が海底に沈んで、その上に堆積層ができていく間、バクテリアや熱、化学物質によって動植物の身体は分解され、ケロジェンという物質に変化する。その上に砂岩を中心とした貯留岩がフタのようにかぶさる。
ケロジェンが熱によって炭化水素となって上にあがってきたとき、これを逃がさないように貯留岩層やその上の地層がフタとなって地下に閉じ込められ、そこに油田ができていくのだ。
このとき、どのような化学反応によって動植物の脂肪や油分から石油が作られていったのか詳細なことはまだわかっていない。
これまで見つかっている石油の大半は恐竜が生きていた中生代(約二億二〇〇〇万年前~六五〇〇万年前)の地層で見つかっている。
しかし、どんな場所に埋もれても動植物の死骸が必ず石油になるというわけではない。
石油が地下でできる場所は、砂や泥などが厚く積もってできた堆積盆地であること、ケロジェンを多く含む根源岩や、油をためるのに適した浸透性のよい貯留岩という岩石が作られること、貯留岩を不浸透性の岩石が覆う地層の形になっていることなどが必要である。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670536 |