スーツ
【東京雑学研究会編】
§スーツの襟にボタン穴がついているわけとは?
最近は、男性もおしゃれを楽しむようになり、カジュアルな格好もそれなりに着こなす人も増えてきたが、少し前まで男性の服装といえば、夏も冬も、フォーマルな席でも、遊びにいくときも、もちろん仕事の場でも、スーツ一点張りの観があった。
そのスーツ、あまりにも見慣れすぎて、誰もなんとも思わなくなっているようであるが、左の襟についているあのボタンホールらしきものが気になる。あれは一体何のためについているのだろう?
あの穴は確かにボタンホールだそうだ。昔は、反対側の襟にボタンがついていて、この穴にボタンをかけて、詰襟のようにして着ることもできたという。
このボタンホールには、「フラワーホール」というきれいな名前がつけられている。実は、その名のとおり、別の用途もあったのである。というのは、一九世紀のイギリスでは、フォーマルな会合やパーティーに出かけるとき、この穴に花を挿したそうだ。ダンディなイギリス紳士たちのおしゃれに一役買っていたのである。
最近では、サラリーマンが自分の会社のバッジをつけたり、国会議員も議員バッジをつけるのに利用している。
このボタンホール、ほかにはもう使い道はないのであろうか。もう一度反対側の襟にボタンを復活させて、リバイバル・ルックを楽しんでもいいかもしれない。繰り返し流行しているファッションもあるのだから。もしかすると、意外に若者たちに受け、ニュー・ルックにつながるかもしれない。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670502 |