コーヒー①
【東京雑学研究会編】
§缶コーヒーやファミレスのコーヒーがおいしくないのはなぜか?
缶コーヒーやインスタントコーヒー、ファミリーレストランのコーヒーはまずいと言われる。また、たとえ有名ホテルのレストランで出されるコーヒーでも高いわりにおいしくなく、コーヒー専門店や名のある喫茶店の味とは比べ物にならない。一体なぜなのだろう。コーヒー豆の成分や淹れ方に注意してみる必要があるようだ。
コーヒー豆の成分は、繊維質、糖類、タンニン、酸類、カフェイン。良い豆はタンニンや酸が少ない。一級品の豆は一四〇〇メートル以上の高地で岩の多い土壌に生える木から採られるという。土壌にミネラルが多いのである。
コーヒー豆は木の実なので、よく熟れたものほどよい。未熟なものはタンニンや酸が多く、苦くて渋くて酸っぱい。虫に食われた実も当然のことながらよくない。
豆は乾燥され、まず外側の殻が取られる。芯の部分を貯蔵しておくと、緑がかった色が黄色味を帯びてくる。この工程はエイジングといい、最低一年間かけるのが理想とのこと。
次に焙煎。本当に良質の豆は、軽く煎るだけでおいしく淹れることができるそうだ。焙煎により放つ甘い香りは、成分の繊維質と糖類が熱でカラメル化してできるものである。
苦味、渋味、酸味は、焙煎が進むにつれ減っていくが、カフェインの量は変わらない。しかし、細胞壁が熱で壊れるとカフェインは溶け出しやすくなる。
コーヒーは挽きたてがおいしい。非常に酸化しやすいので、挽いた状態で放置すると、一週間ともたないと言われている。したがって、淹れ立てがおいしい。酸化が進まないうちに飲むことである。
カフェインはどんな温度の水にも溶けるが、苦味や渋味は高温になるほど溶けやすい。だから、高級な玉露の淹れ方と同じように、少し冷ました湯で三分ぐらいかけて淹れるとおいしいそうである。
これで、缶コーヒー、インスタントコーヒー、ファミレスのコーヒーがおいしくない謎が解けた。豆が低級品である上に、細かく挽いて少量の豆で大量に作り、しかも作り置きされて酸化の進んだものが出されるからである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670327 |