ギフト
【東京雑学研究会編】
§ギフトは、不吉な贈り物だった!?
英語のギフト(gift)はすっかり日本語として定着し、親しい友人や家族、恋人同士で交換しあうプレゼントに対して、やや公的な贈り物、そして御中元や御歳暮などの年中行事やイベントの贈答品を意味する言葉となっている。
けれども「ギフト」の語源となった古代ゲルマン語の「ギフト」は決して心のこもった贈答品のことは意味しておらず、むしろ「不吉な贈り物」や「毒に変わる進物」のことをさしていたのだ。
例えばある英雄伝説に次のような一節がある。
「お前はギフトをくれた。だがしかしお前は愛情をこめた贈り物も心尽くしの贈り物もくれなかった。私がもっと早くこの危険に気づいていたら、お前は命をなくしていたろうに」
ここからもわかるように、ギフトという言葉は敵意を持った人物からの不吉な贈り物、の意味で使われている。
敵に贈り物をして油断させ、後に裏切るという戦術が古代ゲルマン人たちの間でよく使われていたようだ。
M・モースもゲルマン語のギフトが贈り物を意味すると同時に毒の意味を含むこと、ゲルマンの古い伝説には不運のもとになる贈り物という題材が多く見られることを指摘している。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670242 |