蜂
【東京雑学研究会編】
§働きバチは、一日平均六時間しか働かない
いつも忙しく働いている、その名も「働きバチ」。英語にも、「busy as a bee」という言葉があるように、女王バチや幼虫に餌を運び、巣を補修し、掃除し、蜜や花粉を集め・・、と働きバチの仕事は山ほどある。
狭い巣に身を寄せて、せかせかと働いている姿を見ると、会社員の我が身のように思われて、ついほろりとしてしまう人もいるかもしれない。
ところが、よく観察してデータをとってみると、働きバチはそれほどは働いてはいないのである。
働きバチのうち、実際に働いているのは、全体の五〇%強で、残りは巣の中でのんびりしていたり、意味もなくウロウロしたり、毛づくろいをしたり、同じ動作を繰り返したりしているだけ。
しかも、働いているハチでさえ、一日の実働時間は六時間ほどで、ビジネスマンの八時間より、二時間も少ないのである。おまけに、働くのは昼間だけで、残業はない。
「なんだ、働きバチというのは、名前だけだったのか」とがっかりしないでほしい。
働きバチには週休二日などという制度も、夏休みもない。一週間あたりの労働時間を計算すると、六時間×七日=四二時間となり、人間の労働時間を八時間×五日=四〇時間とした場合と、そう変わらない。
さぼっている働きバチも、次から次へとハチが生まれてくるから、仕事にあぶれて、窓際族となる。それでも、リストラがないだけでも、働きバチのほうがいいかもしれない。
だが、ハチは生まれた時期によって仕事の密度が大幅に違い、それによって寿命まで違うという厳しい現実がある。巣全体が盛んに活動する初夏は、働きバチもひどく忙しく、その時期の成虫寿命はたった一五~三八日間。ところが、巣がほとんど活動しない越冬期を過ごすハチは、一四〇日間ほど生きることができるのだ。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670166 |